2022年8月9日(火)

WEDGE REPORT

2020年12月16日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

国務、財務長官承認も難航?

 バイデン氏が明らかにしている次期政権のこの他の主要な人事をみると、国務長官にアントニー・ブリンケン元国務副長官、ジャネット・イエレン元連邦準備制度理事会(FRB)議長が財務長官、リンダ・トーマスグリーンフィールド元国務次官補が国連大使に指名されている。議会承認人事ではないが、閣僚並みに重要な国家安全保障問題担当の大統領補佐官にはバイデン副大統領時代の補佐官、ジェイク・サリバン氏、CIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)など情報機関を統括する国家情報長官はヘインズ元大統領副補佐官が起用される見込みだ。通商代表部(USTR)代表には、台湾系のキャサリン・タイ下院法律顧問が指名された。

 これらの人事についても承認まで難航するとを予想する向きがあることもバイデン政権の発足に暗雲を投げかけている。

 2014年、ブリンケン氏がオバマ政権で国務副長官に指名された際、上院での採決で、棄権はあったものの、共和党から賛成票を投じた議員はいなかった。

 イエレン氏がFRB議長に指名されたやはり2014年の採決をみると、共和党からの賛成者は5人にとどまり、マコーネル氏も反対に回っている。

 ただ、共和党上院のなかでも、元マサチューセッツ州知事で、2012年の大統領選に出馬して当時の現職、オバマ大統領に敗れたミット・ロムニー氏、穏健派のスーザン・コリンズ、リサ・マコウスキー各氏らを中心に、次期大統領の人事権を尊重する向きもあり、バイデン氏によっても、これら各氏らが賛成に回ってくれるのを期待する向きもある。

弾劾、バイデン父子の疑惑が発端

 一方、バイデン氏の次男、ハンター氏のスキャンダルについてはいまなお親トランプ勢力を中心に反発が強い。

 ハンター氏は、父親の影響力によって2014年にウクライナのエネルギー企業「ブリスマ」の社外重役に就き巨額の報酬を得ていた。

 プリスマのトップは横領、マネーロンダリングなどの疑惑が取りざたされ、ウクライナ検察が捜査していたが、バイデン氏が副大統領として2016年にウクライナを訪問した際、先方に検事総長の更迭を要求した。ハンター氏の関与が明かになるのを避ける意図だったともいわれる。

 検事総長は更迭され捜査は中断したが、トランプ大統領が2019年7月、ウクライナのゼレンスキー大統領に対し、軍事支援の見返りとして、この疑惑を再捜査するよう迫った。すでに民主党の大統領候補の本命となっていたバイデン氏の追い落としを図るためといわれる。

 この問題に絡んで、トランプ氏が、外国政府の勢力を政治的に利用したとして2020年1月、弾劾裁判にかけられたのは記憶に新しい。無罪評決こそ受けたものの、もともとバイデン父子の疑惑が発端だったことから、トランプ支持勢力の反発はなお強く、今後も追及は続くとみられる。

 ハンター氏の関連では、中国の人民解放軍と関係の深い企業から、やはり巨額の「相談料」を受け取ったなどという疑惑もあり、2020年12月、地元デラウェア州の連邦地方検察庁が税務に関する捜査を開始している。

 本人は疑惑を否定、「専門的に調べてもらえれば、適正に処理していたことが明らかになる」と説明しているが、展開次第ではバイデン氏自身への批判が強まる可能性もある。

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