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2020年12月30日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

(sizsus/gettyimages)

「コロナ禍のマンション販売」シリーズ3回目は、マンション販売について長年にわたり調査、分析をしてきた東京カンテイ市場調査部の井出武・上席主任研究員に、販売の特徴などについて聞いた。

Q コロナ禍で都心から郊外に住居を移す動きがあると伝えられたが、そうしたことを示すデータが現れているか。

井出研究員 郊外へのシフトはデータでは現れていない。来年以降にそうした動きが起きるのかもしれないが、現段階では郊外へ住まいを移す動きは見られない。家をいくつか持っていて、そのうちの一つを貸し出すとか、セカンドハウスを持つというのはあるかもしれないが、住んでいる家を先行きの見通しが立たないコロナ禍の中で、売ったり買ったりするのは判断を迷うはずで、結論が出なかったのではないか。企業側もテレワークを長期化、恒久化するかどうかはまだ決めていないところが多く、それが決まらない限り、働く側も住居を変えるのは慎重にならざるを得ない。

 そういう中で、賃貸住宅に住んでいる人は住宅ローンがないので、動きやすかったかもしれない。賃貸の人は非正規雇用の比率が高く、仕事を失ったり収入が減少したりして、生活防衛的に家賃の安いところに移らざるを得なかった人も入っている。一方で、持ち家の人は様子見で、リスクのある今動くよりも、もう少し先を見極めてから判断しようとしたのではないだろうか。したがって結論は、郊外シフトは起きなかったと言える。

Q 首都圏のマンション価格は引き続き堅調に推移しているのはなぜか。

井出研究員 価格が強含みの背景には、夏ごろから株価が上昇したのと関連があるのではないか。リーマンショックの時に見られた与信の問題が心配ないだけに、投資家も痛手を受けていない。2014年ごろから株価の上昇で利益確定したマネーの一部が不動産に回る形がみられたが、今回も同じような現象が起きて、マネーが株式と不動産の間で循環している。

 このため株価が大きく変動しない限りは、来年もマンションは強含みの価格が続くのではないか。特に都心、タワーマンションの価格は株価と連動するだろう。ただしマンションディベロッパーは用地の仕入れなどに2年以上かかるので、すぐには新築マンションを建てられないが、来年は用地取得に慎重になった影響で供給量は減る可能性がある。

Q コロナ禍にとり、住宅マーケットで人気のあるロケーションに変化が見られたか。

井出研究員 私の見る限りコロナ禍による変化は見られない。第2四半期に大手ディベロッパーが都心のマンション供給が減ったため、一時的に都心物件が減ったが、その後は元に戻ってきている。やはり、都心、駅近のマンションの人気が高いのは変わっていない。

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