日本の漁業は崖っぷち

2012年9月24日

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 米国では、過剰漁獲を一段と回避し、盤石な資源管理体制につなげるため、2012年中に漁業対象魚528種にTACを設ける方針を決めています。2011年に米西海岸では、TAC設定魚種を個別割当てにしたところ、主要魚種の1つの漁獲高は、1隻当たり5年平均比の3倍弱に達したそうです。今後も、TACを個別割当てにしていく動きが加速していくことでしょう。

 まず漁獲枠(TAC)を設定し、その後個別割当制度(IQ)へと進化していくのですが、日本では、これだけ魚種が多いのに漁獲枠(TAC)たったの7種類! 個別割当て(IQ)は、今回のホッコクアカエビが第1号なのです。

 今から20年以上も前に、筆者はカナダの甘エビ(ホッコクアカエビ)のトロール船に、検品で約1カ月乗船しておりましたが、既に船ごとに漁獲枠は決まっていました。漁獲枠の管理は、その時すでに常識でした。

 新潟県のホッコクアカエビ漁は、沖合底曳網漁業とエビカゴ漁業に分かれます。両方の漁法が対象になることが好ましいのですが、今回はエビカゴ漁のみが対象になっています。

 IQ検討委員会のメンバーは、学識経験者、流通代表、実需者代表、漁業者代表、行政者で構成されており、よく考えられています。日本で行われている自主管理の場合は、漁業者、行政者間で話し合われることになるので、どうしても「資源が減少していく中、漁業者はもっと多くの魚を獲ろうとする(EUの海事漁業大臣)」という意識が働いてしまうのです。

自主管理の限界

図2 新潟県ホッコクアカエビの漁獲推移
(出所:新潟県水産海洋研究所)
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 新潟でのホッコクアカエビの水揚げは、1970年代半ばから1980年前半にかけては、700トン程度の水揚げでしたが、2011年(平成23年)は453トンの水揚げとなっています(図2)。

 新潟県のホッコクアカエビにおける自主管理は、カゴの網目を大きくする、夏場の操業を自粛、2日操業1日休漁、曳網回数を一日3回から2回、漁場のローテーション等の施策が取られています。これらの管理に効果がないとは言いません。しかし、漁が良い時には「できるだけたくさん獲りたい!」という意識が誰にでも働いてしまうので、資源管理上は好ましくないのです。

多くの成功例を漁業者に示し、理解者を増やしていく

 今回のモデルケース導入は、2011年から実施され、その検証のための第一回の会議が8月23日に行われました。委員の一人である県えびかご漁協会長は「個別割当て導入で良かったことが多い。枠が決められたことと漁期延長もあり、値段の良いときに頑張り、安いときに漁をやめたりできた」という評価する認識を示しています。

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