2024年11月24日(日)

日本の漁業は崖っぷち

2012年9月24日

 長年にわたり各国の数多くの成功例を見続け、実際にそれらの国々から水産物の輸入を通じて買付けを行っている立場から見ると、古い固定観念を捨てて変わらないと、日本の水産業は、せっかく復活の方法があるのに成長の機会を逸し、衰退を続けるだけに見えてしまいます。

図1 世界のホッコクアカエビの漁獲推移
(出所:FAO) 拡大画像表示

 図1は、世界のホッコクアカエビの漁獲状況を表したものですが、高水準の漁獲が続いていることがわかります。漁獲のほとんどは、大型トロール船で個別割当制度により漁獲されるものです。資源を維持して持続的に漁業を行うために重要なのは、漁船の大小や漁期の長短ではありません。大きな漁船は、魚をたくさん獲ってしまうので、規制しなければならないということではないのです。資源量を正確に測定した上で、どれだけの親を残せば資源が持続的になるのかを科学的に測り、漁獲可能な量を、漁船ごとに個別に割り当てて、厳格に管理していくことなのです。

新潟県の水産業の現状と問題点

 新潟県では、1970年代半ばから1980年前半にかけては、年間で約4万トンの水揚げがありました。しかし2011年以前の約10年間では、約2万トンの水揚げと半減しています。漁業従事者は、同時期に約6000人だったものが、2008年時点では、約3000人とこちらも半減しています。60歳以上の高齢者は6割を超えており、後継者のいない経営体の割合も多くなっています。高齢者が引退していけば、若者の参入は少ないので、将来どうなってしまうのかは言うまでもありません。日本では典型的、世界では異常なケースです。

 新潟県の水産業が抱えている問題点は、大きく分けて4つあります。水産資源の維持回復、魚価と市場の低迷、経営の悪化、後継者不足です。そこで、漁業の基盤となる水産資源を回復させることにより、魅力ある新潟県水産業の発展を目指しています。

 本来であれば、国として真摯に取り組むべき課題ですが、泉田新潟県知事からのトップダウンでの指示の下、資源管理の重要性を認識し、ホッコクアカエビ(甘エビ、もしくは南蛮エビと呼ぶ)のエビカゴ漁において、個別割当制度(IQ)による資源管理を行うことが決定されています。

7魚種しか漁獲枠の設定がない日本

 ホッコクアカエビは、カナダ、ロシア、グリーンランドといった国々から輸入されますが、言うまでもなく、それぞれの国では漁獲枠が設定されており、枠内での漁獲になっています。日本では、7魚種(サンマ、スケトウダラ、マアジ、マイワシ、マサバ及びゴマサバ、スルメイカ、ズワイガニ)しか漁獲枠(TAC)がない有様なので、ホッコクアカエビには漁獲枠さえないのです。


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