筆者は2年前の夏の雨期に58日間ルソン島、レイテ島、ボラカイ島など北半分を島巡りした。(『定年バックパッカーも実感「安いニッポン」』)。今回は乾季にパラワン諸島やミンダナオ島など南部を中心に島巡り。東京~セブ島往復の格安航空券は預入荷物と1回限りの予約変更可能条件で7万2000円。食事・飲み物・毛布など一切なし。つい7年、8年前には食事付き欧州往復航空券が8万円を切っていたことを思い出して腹が立った。
2022年7月マニラで両替したときは1ペソ=2.50。当時は1ドル=140円。今回の2024年3月~5月の平均では1ペソ=2.80円。ちなみに対ドルレートは1ドル=156円前後。つまり1年8カ月の間にペソも対ドルで下落したが、日本円の対ドルレート下落がもっと急激なので円の対ペソ交換率が悪化したのだ。フィリピン・ペソにも負ける日本円にトホホ!
マルコス・ジュニア大統領の庶民の評価は“それなり”なのか
マルコスが大統領選挙で圧勝して2022年7月に就任してから今年3月時点で1年8カ月経過。大統領選でマルコス・ジュニアが大勝したのは在任中圧倒的人気を誇ったドゥテルテ前大統領の政策を継承することを明言してドゥテルテ前大統領の娘であるサラ・ドゥテルテ副大統領候補とコンビを組んだからである。
マルコスは就任当初は世論調査で80%以上の熱狂的支持率であったが2023年秋から2024年春にかけては支持率が60%超で推移しているようだ。当初よりやや低迷しているがさりとてそれ以下には下がらない。他方剛腕で鳴らしたドゥテルテ元大統領を評価する国民は未だに90%近い。
マルコス大統領はドゥテルテの外交政策を180度転換
3月14日。セブ空港近くのホステルのオーナー57歳と歓談。オーナーによるとマルコス大統領は外交政策ではドゥテルテ政権時代の“親中反米”外交を180転換。これにより南シナ海のフィリピン領海を中国の侵略から防衛するという戦略が明確になった。米国のみならず日本・豪州など西側諸国と連携して中国の侵略を抑制するという外交戦略は成果を挙げているとオーナーは賞賛。
他方でドゥテルテ政権は、超法規的麻薬撲滅キャンペーンによる治安回復を最優先していたので、欧米諸国が批判した人権無視の超法規的取締りを緩めることはできなかった。そのため人権擁護のお題目を唱える米国との外交対話は不可能だった。また、バナナなど農産物の最大の輸出国である中国と領土問題で衝突すれば、国内農家が大打撃を受けるという弱みもあったので対中懐柔政策を取らざるを得なかった。オーナーは当時のドゥテルテ政権の苦渋の外交を擁護した。
内政ではドゥテルテ前大統領が約束していた公立学校教師と公立病院看護師の給与引上げは、マルコスも選挙公約で謳っており新政権の目玉政策の一つであったが、財政的制約もありやや期待外れの賃金改定に終わったようだ。