11月30日。キャンディーの世界遺産“仏歯寺”。観光バスが道の両側に並んでいた。ほぼ全てが中国製だ。中国金龍汽車の新しいバスのフロントガラスに上海●●様ご一行と中国語の案内板があった。バスには運転手の他に中国人女性が一人だけ残っていた。中国語で事情を尋ねると前日に足を捻挫したので見学をパスして一行の帰りを待っているという。
Rさんは上海出身1959年生まれの64歳。高校の女子同級生(同学)仲間12人でスリランカ女子会旅行とのこと。全員退職(退休)して年金暮らし。放浪ジジイの記憶では15年くらい前は女性の定年は50歳だったことを思い出して確認したら、中国でも定年年齢が引き上げられ現在は女性55歳、男性60歳になったとのこと。注)ネット情報によると現在でも非管理職女性は50歳定年であり管理職女性は55歳定年という。確かにRさんは話し方や態度から元女性管理職という印象だった。
今回はスリランカを9日間で1周するツアーで上海からコロンボまで中国東方航空の直行便。コロンボからはバス移動で毎日宿を変わるので予想外に慌ただしい日程とこぼした。
Rさんの印象ではスリランカは40年前の中国と同じ文明水準という。1980年代初めの北京や上海を思い出してRさんのコメントに頷いた。今回旅行先にスリランカを選択したのは東南アジアへは行き尽くしたからという。言外に余裕のある生活水準であることを匂わせている。上海や北京の企業の管理職階層であれば、富裕層でなくとも世帯収入は日本の平均以上であろう。というのも建国以来共産党により男女同一賃金かつ夫婦共働きが大原則だからだ。
Rさんは福島汚染水問題を中国政府の政治プロパガンダと断言。Rさんの息子が最近日本に出張したが、息子も福島汚染水問題など気にせず日本の海鮮料理を堪能したと。他方で息子の認識では日本は遊びに行く国であり仕事をして金儲けする国ではないと。日本はビジネスチャンスに乏しいと息子は感じたようだ。
Rさんの話しぶりから中国人としての大国意識と上海人としての先進的都会人の矜持を感じた。僻目であろうかGDP世界第2位と第4位の差を思い出した。