2024年6月25日(火)

古希バックパッカー海外放浪記

2024年4月14日

シー・ビュー・ホテル(海景酒店)@ヒッカドウアの中国人起業家

キャンディー湖畔のゲストハウスのメイド。名前はアショカ、仏教を保護した インドのアショカ王のアショカである。可哀想に負け組中国人Mに理不尽に苛められた 。

 12月24日。中国語の看板が出ていた中堅ホテルがあったので興味本位で中に入るとソファーに経営者のL氏がいた。中国語と英語のチャンポンで聞くとL氏の起業家(entrepreneur)としての顔が見えてきた。

 L氏は36歳、中国安徽省出身。安徽省の平均所得は上海・北京の40%であり湖北省・江西省と同じ水準。豊かとは言えない地域である。子どものころから両親が安徽省で旅館(小さなホテル)を経営。L氏は現在ウルムチでも旅館経営しており、L氏夫人が切り盛りしている。当初は仕事に来た漢民族で繁盛。その後ウイグル族を巡る政治的混乱とコロナ禍で苦しい時期が続いたが今後は回復すると期待した。

 L氏自身は23歳で国を離れオーストラリア、ニュージーランド、トルコ、スペインなど主に海外のホテルで経験を積んで事業資金を貯めてきた。コロナ禍では2年間自宅軟禁生活。2023年春に中国からの海外渡航が解禁された初日のフライトで出国。いつ何時突然海外渡航が再度禁止になる恐れがあると判断したとのこと。

 最初にタイ・マレーシアに行ったが物価も高くホテル事業で新規参入は難しいと判断。それからスリランカに来た。以前からの知り合いのイタリア人オーナーと交渉してオーナーからヒッカドウアの現在のホテルを居抜きで借りる賃貸契約を結んだ。若干の改装をして5月に新装開店。

 老齢のイタリア人オーナーは引退して故郷で余生を送りたいと、予てから希望していたので有利な条件で賃貸契約した模様。いずれにせよ凄いスピード感だ。注)筆者はアジアや欧米に進出している中国人に過去百人以上面談したが、中国人が海外で開業する時は初期投資を最小限にするため訳アリ物件を居抜きで賃貸するのが常道。事業が軌道に乗ったら徐々に規模を拡大して故郷から働き手を招く。

 中国人の個人旅行客をターゲットにいくつかの旅行サイトに登録して集客しており開業半年で収支は“まあまあ”(還可以)と。L氏は2年以内に経営を軌道に乗せて故郷の親類に経営を任せて自分自身はスペインかイタリアでホテルを開業する計画であった。

中国人起業家の人生設計と世界観と政治感覚

L氏が経営するホテル。レストランとダイビングショップもある。 スリランカ人のシェフはイタリアに出稼ぎしていたのでイタリア料理もできる。現在中 華料理を修行中

 L氏は現在スリランカで単身生活。10歳の長男はシンガポールの親戚の家に預けている。将来は米国の一流大学に留学させる計画。次男は現在ウルムチで夫人と暮らしているが将来の進学に有利なシンガポールかどこかに移す予定。

 いずれ全ての事業が軌道に乗れば、米国かカナダあたりに家を買って一家で移住するという。つまり中国に戻る考えはない。L氏の得た情報では2023年にメキシコ国境から米国に違法越境した中国人は5万人に達した。以前は富裕層・中間層が合法的に米国へ移住できたが、米国の審査が厳しくなり中国経済悪化で金のない若者がメキシコ経由で米国に流入していると。

 ジャック・マーへの対応に見られるように習近平政権は経済を犠牲にしてでも独裁体制確立を優先しており毛沢東時代への回帰を夢想している。中国人の97%を占めるのは漢民族。チベット、ウイグル、モンゴルに対する弾圧と同化政策に対して漢民族は無批判・無関心または冷淡だ。少数民族問題から中国の現体制が揺らぐ可能性はない。

 習近平時代が終われば代わりの独裁者が登場するか、あるいは政治的混乱により経済が停滞する可能性もある。ましてや共産党一党独裁体制が崩れれば長期間政治経済は混乱する。

 いずれの政治的シナリオにおいても中国を生涯の生活拠点とすることは避けるべきだとL氏は判断。『稼ぐだけ稼いで先進国に生活拠点を確保すること』が自分の家族を守るために自分がやるべきことだとL氏は断言。L氏のビジネス展開や将来設計は伝統的華僑精神である“落地生根”そのものだと感服した。

以上  次回に続く

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