2024年12月22日(日)

古希バックパッカー海外放浪記

2022年10月16日

(2022.7.16~9.11 58日間 総費用22万5000円〈航空券含む〉)

 2019年末にインドから帰国してから約2年半、ご多分にもれず放浪ジジイも毎日ステイホーム、自宅謹慎蟄居の日々。このステイホーム期間を天与の充電期間と思い定め、語学と読書にいそしんだ。語学は英語以外のスペイン語、韓国語、中国語の3か国語。1日当たり平均でスペイン語3時間、韓国語2時間、中国語1時間ほど。読書は1日1時間以内。語学は文法・ヒアリング中心。これを毎日延々と繰り返すのである。

 「語学学習は数ある習い事の中で、もっともコストパフォーマンスが悪い」とはさる高名な学者の言葉。まさにこの言葉を痛感することになった。2年半の間、一日の大半を文法理解、単語と例文の暗記、ヒアリングに費やしたが、今回約2カ月のフィリピン旅行で遭遇したメキシコ人、韓国人、中国人との実践会話では2年半インプットした内のせいぜい数パーセントしかしゃべれなかった。レベルとしては3年前より若干向上したかなという程度。つまりインプットとアウトプットのコスパが極端に悪い。

 しかし落胆は無用。現在69歳(数え年では古希)なので米寿までに多少カッコよく話せるようになればいいのだ。あくまで語学は老後の趣味でありボケ防止である。

 読書は『三国志』、『白鯨』、『カマラーゾフの兄弟』などなど古典の大作中心。近くの市立図書館から借りてくるので四週間以内に読了し返却しなければならず、常に返却期限に追われた。積読にならず一期一会なのだと真剣に読むので、本は買わずに借りるべきである。それに財布にもやさしい。

フィリピンの印象

フィリピン名物ジープニー(乗合自動車)米軍払下げジープを改造したのが起源

 2022年6月頃から海外では続々と観光客に門戸を開放し始めた。第4回目のワクチン接種を終えているので、外務省のホームページによるとかなりの国に行けると心は踊る。

 世界地図を広げるとアジア地域で放浪ジジイにとって「未踏の地」はバングラデシュ、ブータン、フィリピンの3カ国のみ。フィリピンは仕事でも縁がなく、海外放浪を始めてからは安全第一で行き先(destination)を決めていたので後回しになっていた。

 保険調査員の人から「保険金絡みの不審死で最も多いのがフィリピンですよ。私も数年に1回はフィリピンに現地調査に行きます」と物騒な話を聞いた。さらにフィリピン駐在歴通算20年という商社時代の先輩に話を聞くと「基本的には日本人社会の中で暮らし、移動は会社の車で。タクシーが必要な場合は信頼できる会社から手配してもらう。夜間単独外出は絶対不可」という日本人駐在員の不文律を遵守したという。先輩氏は大柄で大学時代は空手部で鳴らしたという強面の風貌。それでも細心の注意で行動したというからますます不安になった。

 世間一般ではフィリピンというと「フィリピンパブ」さらには「ジャパゆきさん」のようなメージが残っているのではないだろうか。そして最近では急速な経済成長、マルコス新大統領の登場、豊かな自然と極上のリゾートなどなど。色々な意味で危なそうだけど面白そうな国のようだ。散々迷った挙句にフィリピンに決定した。

成田空港からフィリピンは始まった

 7月16日。某日系航空会社のマイレージを利用した特典航空券だったので航空会社のラウンジでブランチ。オーダーすると寿司職人が握ってくれる。待ち時間がたっぷりあるので寿司をつまみに生ビール、シャンパン、白ワインと極上の時間を過ごす。

 30年以上某航空会社のクラブメンバーであるが、今回ラウンジの雰囲気が変わったことに驚いた。マニラ便の客と思しき派手なシャツを着込んだ中年男性グループは大声で下品な会話をしていた。どうみても「その筋の男たち」だ。また同様に得体の知れないフィリピン人らしい強面の数人組は冷の日本酒を何本もお代わりして宴会状態。

 搭乗口の待合室にはフィリピン人の家族連れ、日本人ビジネスマンの他に日本人のオジサンとフィリピン女性というカップルが目立った。日本で結婚してフィリピンの彼女の故郷へ里帰りではないかと想像した。

 ちなみに統計によると2004年頃の最盛期には興行ビザで日本に入国してフィリピンパブで働くフィリピン女性(フィリピーナ)は年間約8万人。そして年間1万人近いフィリピーナが日本人男性と結婚している。

民族衣装でコスプレする著者@世界遺産Badatの棚田

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