円安と物価、日本沈没の予兆?
7月17日。マニラの繁華街マカティで両替。1ドル140円なのでフィリピン・ペソの交換率も悪いと予想していたが、1万円に対して4030ペソ(1ペソ=2.48円)。旅行中に両替の度に交換率は悪化して、9月10日には3700ペソ(1ペソ=2.70円)。ペソも対ドルで下落しているが、日本円の下落が急激なので円の対ペソ交換率が悪化したのだ。
世上ではビッグマックの当該国での価格で比較する物価指数があるが、放浪ジジイはビール小瓶の小売価格で比較するビール指数を使う。大衆ビールのサンミゲルの350ミリリットル瓶はマニラのセブンイレブンで60ペソ(=150円)。日本のセブンイレブンの発泡酒の350ミリリットル缶が140円程度であり、スーパーなら115円くらいだ。
またビーチサンダルは「百円ショップ」で、110円で購入したが、同様の仕様のものはマニラの露店で100ペソ(=250円)。ちなみにマニラの食堂での朝飯(おかず二品+ライス+スープ)は概ね150ペソ(=375円)。
コロナ以前に訪れたタンザニア、インド、他の東南アジア諸国でも同様で汎用工業雑貨製品は日本のほうが概して安い。食事については、日本の外食と比較するとフィリピンを含めて台湾・タイ・マレーシア・ベトナムなどのアジア諸国では10~30%安いだけである。つまり期待するほど安くない。日本に外国人観光客が殺到するのは、観光資源が豊富というほかにサービス含め物価が安いからなのだと納得した。かつて日本は世界一物価が高いと言われたが、もはや今昔物語である。
都市中流家庭の母娘にフィリピンの政治を聞く
7月17日。大衆食堂での朝食で隣のテーブルの母娘と親しくなった。母娘はフィリピン南部のミンダナオ島の大都市ダバオからマニラの親戚を訪ねてきた。母親のエメは40代後半だろうか上品で英語の話し方から教養人であると分かる。娘のフランシスは英語専攻の大学生で色白の美人さんだ。彼女たちを通じてフィリピンの中流階級の人々がボンボン・マルコス新大統領に対して何を期待しているのか理解できた。
ミンダナオ島は回教徒の反政府勢力の拠点であるが、エメは武装勢力を掃討して治安確保することをマルコス新政権に期待すると言った。また、経済面については、フィリピンでは長期独裁政権であったフェルディナンド・マルコス大統領の失脚(1986年)以降は政権が変わるたびに前政権が始めた公共事業が次の政権により中止・中断・変更されることが日常的となったと非難。政権と癒着した業者の利権が原因であると。前ドウテルテ政権の公共事業を継承すると選挙公約したマルコス新政権には期待しているという。治安と公共事業については様々な人から同様の意見を聴いたのでフィリピン国民共通の願いなのであろう。
「今日は日曜日なのでこれから近くの教会のミサに行きます」と挨拶して母娘は立ち去った。フィリピンでは国民の90%がカトリック教徒というが、旅行中でも日曜日の礼拝を欠かさない熱心な信者なのであろう。