2024年11月22日(金)

古希バックパッカー海外放浪記

2024年6月30日

気がかりな治安の悪化とミンダナオ島の過激イスラム組織

 4月4日。イロイロ市は人口45万人、パナイ島の中心都市。港近くの目抜き通りは華僑系商店が連なる中華街だ。カワサキ、ホンダ、スズキなど日本製バイクのスペアパーツの卸問屋の主人58歳と談笑。

 主人は痩せて非力な放浪ジジイを見てイロイロ市街では夜9時以降の一人歩きは厳禁と忠告した。ドゥテルテ政権時代には麻薬マフィアを徹底的に取り締り深夜の外出も安全だったが、マルコス政権になり少しずつイロイロ市内でもマフィアが息を吹き返しているという。その証拠に麻薬の末端価格が下がってきたとの指摘。治安問題と麻薬末端価格下落についてはセブ島、ネグロス島、パラワン島でも同様の懸念の声を聞いたので全国的傾向のようだ。

 放浪ジジイがミンダナオ島への旅行を計画していると聞くと主人は「ドゥテルテ政権時代には息を潜めていたフィリピンからの独立を主張するイスラム過激派の活動が復活しているので、ダバオ市内など治安が確保された場所だけにするべき」と警告。ドゥテルテ政権時代にミンダナオ島の一部にイスラム教徒暫定自治政府を成立させたが、フィリピンからの完全独立を主張するグループが活発化しているようだ。

 セブ島のフェリーターミナル入口にある警察署でミンダナオ島出身の警官に確認したところ、ダバオ市内や東ミンダナオは全く心配ないと太鼓判。またセブ島からのフェリーが到着するミンダナオ北東部のカガヤン・デ・オロ市内も安全なのでカガヤン・デ・オロからダバオへ幹線道路を走る高速バスで移動するようにとのアドバイス。

警察署のドアに大書されていた被疑者の権利

 くだんのセブ島の警察署の入口のドアに、否が応でも来訪者の目に付く大きな真新しい張り紙が掲示されていた。拘留された被疑者に対して“被疑者が法律上保護されている権利を告知”するための掲示らしい。以下のような項目が列挙されていた。

・拘置所の規則を告知される権利
・十分な食物、居住スペース、室内換気、休息を与えられる権利
・医療、歯科治療及びその他の健康衛生上の手当てを受ける権利
・弁護人の訪問を受ける権利
・個人の宗教的信仰・道徳規範を実践する権利
・法律で権利を剥奪されている場合を除き投票する権利
・外国人の場合は大使館・領事館と連絡する権利など

セブ島フェリーターミナルの警察署の玄関ドアに貼られた拘留された被疑者の権利

 日本はじめ先進国では当然の権利だろう。マルコス政権になってから何人に対しても超法規的警察権の行使をしない、という政府方針を警察官と市民双方に知らしめるのが目的とのこと。残念ながら“被疑者の人権尊重”と“治安維持”は両立しないというのがフィリピン社会の現実らしい。


新着記事

»もっと見る