2024年12月7日(土)

2024年米大統領選挙への道

2024年7月15日

 7月13日(現地時間)、耳目を驚かすニュースが世界を駆け巡った。東部ペンシルベニア州での集会で、ドナルド・トランプ前大統領が襲撃されたのだ。幸い怪我の程度は、命に別状はなかったものの、右耳を負傷するに止まった。

 このトランプ暗殺未遂事件は、今後の米大統領選挙にどのような影響を及ぼすのだろうか。

狙撃されてなお、こぶしを突き上げるトランプ前大統領(AP Photo/Evan Vucci/aflo)

「強いリーダー」

 トランプ陣営が暗殺未遂事件を利用することが間違いないのは、これまでのトランプ前大統領のやり方に照らしてみれば分かる。

 すでに、トランプ前大統領の次男エリック氏が自身のXに、顔の右側と右耳に血がついたトランプ氏が、こぶしを突き上げている写真をアップした。そして、「アメリカが必要としている戦士だ」と訴えた。

 共和党副大統領候補に名前が挙がっているマルコ・ルビオ上院議員(南部フロリダ州)は早速、エリック氏がXに掲載した写真を自分のXにリポストした。

 6月27日に実施された1回目のテレビ討論会で、風邪をひき、かすれた声でボソボソ話す「弱いリーダー」のイメージを視聴者にさらしてしまったバイデン大統領とは、対照的な印象を与える写真であることは間違いない。

 さらに、襲撃直後に、シークレットサービスに囲まれながら、移動する際に、参加者に呼び掛けた力強い肉声と、発言の内容も「強いリーダー」として参加者やメディアによって広められた。

 加えて、トランプ陣営は例のトランプ前大統領が血を流しながら、こぶしを突き出している写真を印刷したTシャツやマグカップなどを販売し、政治資金にするだろう。南部ジョージア州の拘置所に出頭し、撮影された顔写真(マグショット)をみても分かるように、その手の戦略には前例がある。


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