モディ首相がモスクワ訪問し、プーチン大統領と首脳会談を行った。今回の目玉は、インド軍とロシア軍が共同演習などをよりしやすくするために、物品や燃料などを相互利用し易くするための兵站支援協定。日米間に(米印間にも)ある物品役務相互援助協定(ACSA)にあたる協定であった。
首脳会談前には、合意直前であるとの報道がでていた。また、ロシア製兵器の技術をインドに供与すること、納入が遅れているロシア製兵器のインドへの納入、ロシア軍に編入されたとみられるインド人の帰国なども、取り上げられるものとみられていた。だから、軍事色の強い会談になるとみられていた。
しかし、両国会談後の共同声明からみると、ロシア製兵器の技術をインドに供与することは盛り込まれ、それ以外にテロ対策における協力などはもりこまれていたものの、それ以外の軍事協力については、進展の形跡がない。ちょうどワシントンで北大西洋条約機構(NATO)の創設75周年を記念した首脳会談が開かれるタイミングで、インドとロシアの軍事協力をアピールするのは、インドがロシア陣営であることをアピールしすぎるため、インドが嫌がったのかもしれない。
ただ、そもそも、なぜモディ首相は、この時期にモスクワを訪問したのだろうか。ロシアがウクライナ侵略を続ける中、ロシアを訪問するのは、よくないのではないか。日本人ならそう思う人も多いだろう。だからこそ、インドの見方については、吟味しておく必要がある。