2024年6月19日(水)

インドから見た世界のリアル

2024年6月6日

 2024年は選挙の年である。その中で最大の有権者を持つのがインドの選挙だ。10億人には及ばないものの、それに近い有権者がいる。期間も2カ月近く、7回に分けて実施された。その重要度も高い。任期は5年で、過去10年政権を担ってきたモディ政権の評価が問われるものだった。

総選挙で勝利したものの、議席を大きく減らしたインドのモディ首相。今後、いかなる連立政権を運営することになるのか(ロイター/アフロ)

 この選挙は、その過程で、公正かどうか、疑う事例も指摘され、与党有利な選挙と疑われた。投票後の出口調査ではモディ政権が大勝利し、過半数272を大きく上回る400議席を超える、とまで報道された。

 結果から言えば、これは公正な選挙だったものと思われる。政権交代が起きかねないギリギリの結果で、与党が操作した選挙とは思えないからだ。

 しかも、与党インド人民党(BJP)単独では過半数に届かなかった。選挙協力している他の政党と合わせて連立政権を組むならばモディ首相は継続できるから、おそらくモディ政権の3期目になると予想されるが、最終的に決まるのは、連立協議に依存している状態だ(6月5日深夜時点)。

BJPが議席を減らした3つの理由

 問題となるのは、原因と、その影響だ。大きく3つの原因があったと推測される。

 まず、モディ氏個人の人気と、与党BJPの人気にはギャップがあることだ。モディ首相個人の実力を認める人はいても、与党BJP全体を支持しているとは限らない。インドは国が広いから、東の人は西のことに興味ない、といわれる国だ。中央政府でモディ首相の人気があっても、インドの末端で選挙を戦うのは与党BJPの候補者で、勝つとは限らない。

 また、物価高も重要な要素だ。コロナ後の状況として、物価高が世界的に続いている。インドの場合、他の国よりも比較的抑えられてはいるものの、物価が上がれば、政権与党に不満をぶつけたくなる。与党にとって不利な情勢で、しかもこれは世界的な情勢だから、簡単には解決できない。

 モディ政権は、このような状況を打開しようとして、経済的な成果の代わりにヒンドゥー教徒重視の路線を前面に押し出した選挙戦を展開した。これはヒンドゥー教徒の支持者を与党BJPの支持として固めようとする政策だったが、結果からみれば、うまくいかなかったようである。

 さらに、モディ首相になって10年たったことが重要なポイントだ。モディ氏は、過去10年、数多くの政策を実現してきた。しかし、10年間も政権を担うと、人気を継続するのはとても難しくなる。

 就任当初、有権者にとって重要なのは、モディ氏が前の政権と比べていい政権かどうかだ。しかし、10年経過した今、有権者がチェックするのは、今のモディ首相が前のモディ首相に比べていいかどうか、である。つまり、モディ氏は過去の自分の成果と比べて、より大きな成果を求められることになる。長く続ければ続けるほど新鮮味のある成果を上げることは難しくなるのだ。


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