2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年6月27日

 ワシントン・ポスト紙コラムニストのファリード・ザカリアが、6月7日付の論説‘Narendra Modi and the myth of the strongman’で、今回のインド総選挙におけるモディ首相の敗北はインドにとって良いニュースとなるかも知れない、インドの経済成長にとって絶対的指導者が必要な訳ではないと書いている。要旨は次の通り。

総選挙で敗北となったインドのモディ首相(AP/アフロ)

 インドの総選挙の結果は出口調査を含むほとんどの予測とは大きく違った。モディ自身も、彼の政党であるBJPが370議席を勝ち取り、彼の連立は400議席に届くと自信をもって宣言していた。結局、(総議席数543のうち)BJPは240議席、連立全体で292議席だった。

 この結果は、インドにとって政治的にも、経済的にも、良いニュースになるかも知れない。

 モディはどうしてこれ程までに負けたのか?一つの重要な理由は多くの野党が相互に調整して野党連合の顔として共通の単一の候補を担ぎ、反BJP票が割れなかったからである。BJPの得票率は37%で前回2019年の選挙とほぼ同じだったが、63議席少ない議席数となった。

 また、有権者はモディ個人を叱責しようとしたようにも見える。少なくとも彼の閣僚のうち20人が落選した。モディ自身の選挙区での彼の勝利も驚くほど僅差だった。

 BJPはアヨーディヤでも負けた。この町はモディがモスクを解体した跡地にヒンズー寺院を建造し、その完成を鳴り物入りで祝った場所である。

 モディには優位性があったことを考えると選挙結果は驚くべきものである。しかし、有権者(多くは依然貧しく、教育程度は低く、弱い立場にあり、4人に1人は文盲)は、抑制と均衡、権力の制限を支持し、行き過ぎた個人崇拝に反対する票を投じたのだ。


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