政府の知的財産戦略本部は6月初旬、「新たなクールジャパン戦略」を発表した。岸田文雄首相は「コンテンツ事業の海外展開を2033年までに、いまの4倍の20兆円にする」と、明言した。戦略の冒頭で「リブート(再起動)」とうたっている。
つまり、第2次安倍晋三内閣において2012年12月に担当大臣を置いて、成長戦略の一環として打ち上げた「クールジャパン」の“再起動”というわけである。
日本の「クール」なところは?
NHK・BSの「COOL JAPAN~発掘!かっこいいニッポン」は、「新たなクルールジャパン戦略」を考えるうえでヒントになる。この番組は劇作家の鴻上尚史とタレントの関根 麻里を司会にアシスタントのご意見番を迎えるスタイルで進行する。
サブタイトルの「外国人の視点で日本文化の魅力を再発見!」にみられるように毎回世界各国の人を迎えるとともに、クールジャパンのテーマにそって現地のルポやインタビューを任せる。
2006年4月スタートの長寿番組で、07年からはNHKワールドで世界に放送されている。過去のテーマをみると、その幅の広さに驚かされる。
「中古~Secod-hand~」では、古民家の木材が高値で取引されている。リサイクル・ショップの品ぞろえの多様さも紹介された。
「駅~Station~」も忘れ物センターや立ち食いそばなどが取り上げられる。「外国人が日本文化の魅力を発見」している。本稿のキーワードになる。
「多様な技!『編む』」(初回放送1月7日、再放送6月19日)を観る。司会の鴻上はまず、「編む」はスタジオの外国人にどのようなイメージを喚起するのかを尋ねる。
豪州人のジミ・ションは「マフラーやハンドバックを編む」という。彼女は日本の手芸店を尋ねる。
本国で売られている糸は単色だが、日本は黒といっても他の色の糸が織り込まれていたり、糸を購入すると編み物をするデザイン図をくれたりすることに驚く。「豪州ではないと思う。これなら編み物の本を買わなくても済む」と。
彼女は街頭に出て、小さな子どもを抱いた夫婦にインタビューする。妻は夫と結婚する前のつきあい始めてから、編み物を贈ったという。いまは通勤途中でも子どもの靴下を編めるように糸と編棒をいれている。