次に向かった先は編み物を応用した「あみぐるみ教室」である。ぬいぐるみを作ったうえに着せ替えも作っている。「Amigurumi」は世界各国の一部に浸透し始めているという。
「東洋のマジック」
スタジオに戻る。日本人が好きな人に編み物を贈ったり、さまざまな編み物を作ったりすることに外国人たちは驚き、興味を抱いていく。好きな人に贈るのは「クレージー」(中国人)「信じられない」(ジャマイカ人)という反応が多かった。中国の編み物はティーポットマットなど、英国とイタリヤは靴下などと答える。
「編み物は時間がかかる。好きな人にあげるならクッキー、2時間もあれば焼けるからね」(カナダ)、「ミュージックテープ(好きな曲を編集した)を贈る」(米国)と。
スタジオの外国人は外に出る。「東洋のマジック」と呼ばれる、軍手づくりの機械からはじまって洋服も縫い目がないものを作れる日本の機械メーカーが登場する。60年ほど前に創業者が、母親が軍手の指や掌などの部分を縫い合わせているのをみて、縫い代なしで軍手を作れないかという発想から自動の軍手織物機が生まれた。
そこから、縫い目のない洋服にも応用が可能ではないか、と考えて新たな自動織物機へと発展した。世界的な洋服メーカーが使っているという。PCでデザインをして、色や形などをこの自動機械にデータを送信するだけで自由自在に折り目のない服ができあがる。
さらに、外国人は秋田の農村に飛んで、わらをつかった雪のなかを歩く靴や雨や雪のなかを歩けるわらづくりのマントのようなものを作る伝統芸にも、驚きの声を上げる。「持続可能な開発目標(SDGs)であり、日本のモッタイない精神のあらわれだ」と。
各国は日本の何を話題にしているのか
「新しいクルールジャパン戦略」――「アニメやゲームを中心に日本のコンテンツの人気が世界中で非常に高まっていることがある」と述べている。日本のコンテンツ産業の規模は4.7兆円にのぼっている。この水準は鉄鋼産業に匹敵し、半導体産業に迫る勢いがある、としている。
日本のコンテンツ産業を発展させてきたのは、「民」であって「官」ではない。世界がニッポンを発見したのである。
安倍内閣が旗を振った「クールジャパン計画」に基づいて、13年に設立された官民ファンド「海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)」の累積赤字は23年3月末で356億円に達して、統廃合が議論されている。