柳号はマジメが一番
こだま さいきんはちょっとおふざけな柳号をよく目にしますよね。「ずぼらママ」とか、「総務の鬼」とか・・・。
ショーゼン 実は、僕が公募川柳なんかで選者をしてて戸惑っちゃうのが、そういうダジャレめいた柳号の作品なんですよ。「窓際課長」とか「ざぶとん亭主」とか、歴史人物をモジって「よりともくん」「小野小町っく」なんていうのもあったなあ(笑)。世を斜めから批評してやろうという、時事川柳、サラリーマン川柳に多い傾向です。
のぞみ でもおふざけな柳号って、なんか憎めない。しかもそういう柳号のほうが得な気がしますけど。句のおもしろさをさらに増幅させるように考えられてるから。
ショーゼン 気持ちはわかるんだけど、すてきな川柳をつくったときに全体のイメージを損ねてしまうことがあるんです。ちょっと僕の句で見てみましょう。
あの人を道連れにする滝がある 昌善
あの人を道連れにする滝がある ざぶとん亭主
どう? ダジャレめいた柳号ってさ、1句目のようにかっこいいのを作ったときに決まらないでしょ。
のぞみ なるほど。ざぶとん亭主にカッコいい句を詠んでほしくはないなあ(笑)。
こだま 薄くなる存在感も髪の毛も ざぶとん亭主
こんな句ならいいんだけどね。
ショーゼン そう。おもしろおかしい句を詠みたい人なら、むしろそういう柳号でもいいかもしれない。でもね、難点はそういう句しか詠めなくなること。柳号のイメージが句の広がりを制限しちゃうから、もったいないと僕は思う。
こだま 自分がつくりたい川柳がどんなタイプなのかを考えて柳号をつけるのがいいということか。
ショーゼン 句と柳号は、セットだと思ってください。句のおもしろさを柳号で増幅してやれ、という下心にはあまり感心しません(笑)。句そのもので勝負してほしいな。
柳号は、自分のこどもやペットの名前だと思って、マジメにつけてくださいね。