ゴミを価値に変える
早くから独立して起業することを考えていた小松さんは、大学卒業後数年の会社員経験を経て、コーヒー・チェーン店のフランチャイズ加盟店経営を始めた。途中、釜飯チェーン店も出店したが失敗して撤退。それが「ゴミ」の世界に飛び込むきっかけになった。
「考えたら自分自身、釜飯を年に1回も食べていなかったんです。事業をやるなら、電気、ガス、水道など毎日使うものだろうと。考えた末にゴミは毎日出るな、これだ、と思ったのです」と小松さん。
飲食店をやっていた関係で、そうしたお店が出す食物残渣や容器ゴミなどを扱うことからスタートした。毎日、ゴミの量を測って、量に基づいて処分業者に委託する。年間の処分費が年間6000万円から300万円になった団体もあり、昔からの慣行で金額を払っていたところが多かったのだという。
今、企業にとって、自身が出すゴミの管理は大きな課題になっている。廃棄物管理のアドバイスを通じて、環境問題に少しでも貢献していくのが、サティスファクトリーの狙いだ。
担当の斉藤昭徳常務は「静脈物流で扱う対象物は『商品』ではなく『不要物』なので、その運用の仕方によっては『廃棄物』になることもあれば『有価物』になることもあります」と言う。例えば、ストレッチフィルム以外でも、プラスチックのパレットや、折りたたみ式のコンテナなどを回収し、ペレットにして商社に販売している。これを違った「成果物」に変えて排出した企業に戻すことができれば、「本当の循環型のサイクルができます」と将来を見据える。ゴミを価値を持つものに変えると同時に、環境負荷も下げることができる。小松さんたちの取り組みは今後も広がっていきそうだ。
写真=湯澤 毅 Takeshi Yuzawa