「成人式は1日で行うものとしては国内最大級の巨大イベントです。ところが、ただ集まって首長の話を聞いて、写真を撮って、友達と食事するくらい。中には会場で暴れて逮捕される若者もいます。いったい成人式は何のためにやるのでしょう」
成人の日の振り袖写真を撮影する成人式サロン「KiRARA」の運営に携わる中西昌文さんは、新しい「成人式」の形を提案する。
「家族のための成人式」
子育ての終わりと、巣立ち
20年間子どもを育ててきた親にとって成人式は「子育て卒業式」。20年間育てられた子どもにとっては「親からの巣立ちの儀式」だ。家族にとって最高のイベントにする。それをトータル・プロデュースしようというのだ。
2021年に成人を迎える人は120万人。近年は新成人の約8割が自治体主催の「成人式」に参加するから、ざっと100万人だ。新型コロナウイルスの蔓延で、どんな形で「成人式」を行うか自治体によってバラバラだが、それでも式を中止しようとすれば猛烈な反対の声が上がる。それぐらい「一生に一度」のイベントとして定着しているのだ。家族にとってはそれだけ重要なイベントであるにもかかわらず、自治体の「成人式」に行って終わりでは寂しい、というのである。
15年に当時、中西さんがもともと所属していた会社が取ったアンケートでは、「娘の成人の記念に家族で特別な催しをしたいと思いますか」という質問に、「そう思う」「強く思う」と答えた親は合計63%にのぼった。何か思い出に残ることをしたいというニーズは確実にある、ということだ。