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2020年12月30日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

【川口加奈(かわぐち・かな)】 
認定NPO法人Homedoor理事長。1991年、大阪府生まれ。14歳でホームレス問題に出会い、活動を開始。19歳でHomedoorを設立。新著に『14歳で〝おっちゃん〟と出会ってから、15年考えつづけてやっと見つけた「働く意味」』(ダイヤモンド社)。 (写真=湯澤 毅)

 ホームレス状態から脱出したいと思った〝おっちゃん〟に、選択肢を提供できたらと考えているんです」

 大阪市で認定NPO法人「Homedoor」を運営する川口加奈さんの語り口は穏やかだ。住む場所を失って路上で生活する人たちに、簡単な仕事や一時的な居場所を提供し、路上生活から脱出するきっかけを作ってきた。大学2年生の時にNPO法人を立ち上げ、理事長になって10年になる。

 今の日本を、「本当に敗者に厳しい」「どんどん転落してやり直しが効かない社会」だと言う。だが、それを声高に批判するでもなく、国や役所を糾弾する言葉を並べるわけでもない。

 現場で数多くのやるせなさを感じたためなのか。目の前のおっちゃんと向き合う時も、押し付けがましいことは言わない。気負いがなく、とにかく自然体だ。

 北区にある「Homedoor」の事務所には行き場を失ったおっちゃんたちが相談にやってくる。これまで相談に乗った人はのべ2000人。事務所の上の階には18室の個室があり、2週間無料で宿泊できる。その間に仕事を探したり、生活保護や年金受給の手続きをし、路上生活との縁を切るサポートをするのだ。

事務所で団欒する川口さんと相談者(写真=Homedoor提供)

 「いつの間にかいなくなってしまうおっちゃんもいます」と川口さん。親身になって相談に乗っていても、わずかばかりのお金を手にしたとたん、姿を消してしまうおっちゃんも珍しくない。「Homedoor」をきっかけに路上生活から脱出して普通の生活に戻った人もいるはずだが、あえて追跡もしないので、どれだけ大きな成果を上げているのか、あまり実感はない。とにかく、目の前にやってくるおっちゃんたちの話を聞く。

通学の電車から見えた風景

 川口さんがそうした〝おっちゃん〟の存在に気がついたのは中学生の時。電車通学で大阪・新今宮の駅で乗り換えていた時のことだった。駅の南側は「あいりん地区」と呼ばれ、多くの路上生活者が住んでいた。電車の窓からは、炊き出しでもらえるおにぎりを求めて並ぶおっちゃんたちの姿が見えた。

 友達の多くも、大人たちも、そうしたホームレスの存在を気にも止めない。「きちんと勉強もせず、仕事もしなかったからああなった」「自己責任、自業自得」そんな声が圧倒的だった。

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