2024年4月21日(日)

家電口論

2021年5月4日

睡眠分析には「体の動き」と「心拍パターン」の両方が必要

Fitbitで睡眠を計測。「目覚めた状態」「レム睡眠」「浅い睡眠」「深い睡眠」で分けられる。 睡眠時間が短いため、「深い睡眠」が不十分であり、疲労回復ができない睡眠であることがわかる。

 睡眠分析には、心拍計が欠かせません。というのは、レム睡眠と深い睡眠では、心拍パターンに大きな差があるからです。レム睡眠は「夢を見る」と書きましたが、夢はVR(バーチャル・リアリティー)のようなもの。飛び起きたら、呼吸が乱れていた、汗をかいていた経験は多いと思います。レム睡眠の間は、呼吸も心拍も不規則になりがちなのです。

 一方、深い睡眠はどうか。呼吸も心拍も落ち着きます。

 スマートウォッチは、「心拍パターン」と「寝返り」を利用して睡眠分析を行います。心拍パターンですから、心拍は連続計測です。心拍計測は発光を伴うため、常時測定すると消費電力が多いのですが、ちゃんと計測しないと結論は出せません。

 今、最も分析に長けているのは、Fitbitだと思います。実際、Fitbitのスマートウォッチは、アカデミアの現場でも、いろいろな臨床の現場で使われています。例えば、抗癌剤を飲んだ時、睡眠はどうなるか? コロナにかかった患者の睡眠はどうか? 等々。人間が知っていることなど、ほんの少しですからね。

4eで、表示された「睡眠分析」

黒バンドで細身の Band 4e。とてもではないが、3000円程度とは思えない質感。 本体は、黒バンドから外すことが可能。

 ファーウェイのスマートウォッチ「Band 4e」。歩数計並みの3000円台で手に入る安価なスマートウォッチです。

Band 4eの睡眠データ。「深い睡眠」「浅い睡眠」「目が覚めた回数」で分析されている。 また、トータルの睡眠時間に「目が覚めた回数」は反映されていない。

 ファーウェイのスマートウォッチは、「HUAWEI HEALTH」(ファーウェイ ヘルス)のアプリでスマホに測定データを映し出します。

 このようなアプリで、そのメーカーの考えが示されるのが、初期設定です。「歩数」「運動時間(中〜高強度)」「睡眠」「体重」「心拍数」「血中酸素」「ストレス」などがプラットホームにでます。

 そして、私が目を疑ったのは、睡眠のところへ、分析結果が表示されたからです。しかも「浅い眠り」と「深い眠り」「目覚めた回数」と、今まで見たことのないパターンに別れています。

 落ち着いて考えて見ますと、4eは加速度センサーしか持っていない、安価なスマートウォッチ。加速度センサーで、入眠、起床の判定はそれなりにできるとしても、心拍計測できないので、分析できるわけないのです。それが初期設定、何もいじらないで出てきたのです。

心拍計測機能を備えた高級モデル「GT2 Pro」の場合は?

GT2 Proの睡眠データ。加速度センサーだけでなく、心拍測定も可能であるため、 Fitbitと同じように分析される。

 では、高級モデル、心拍測定機能を有するスマートウォッチ GT2 Proでは、どんな表示になるのでしょうか?

 「浅い眠り」「深い眠り」「レム睡眠」「目覚めた回数」の4パターンです。ただし「目覚めた回数」は回数であり、分析には、あまり出て来ません。

 ですが、4eとは別の分析結果となります。また睡眠スコア(睡眠分析の結果を、数字で表したもの。目安でしかない)があります。

ファーウェイ からの回答

 ファーウェイに質問してみました。結果、「4eの睡眠分析は、体の動きだけから算出したものである」ことが確認されました。「あくまでも、参考値」ということだそうです。また、ただし書きにも「医療データとしては使えない」旨が書かれています。

 最後の一文は、医療用に開発されたモノのではないので当たり前で、それは臨床研究で使用されているFitbitでも同様です。ちなみに、医療機器が高額なのは、誤った診断結果を導かないように、より精度をするために品質管理をしっかりしていることと、トラブルが起こった時、すぐ現場のサポートができる体制をとっているからです。当然、民生用はそんなことはできません。民生用は、程々の性能、お求め易い価格が魅力だからです。

 私は、メーカーとユーザーとの繋がりは商品だと考えています。逆にいうと、商品だけで完結することが必要だと考えています。できる限り、マニュアルをお読みくださいも、なしがいい。だからこそ、ミスリードを導くようなことをするのはよくないと思います。

  
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