2024年7月14日(日)

Wedge REPORT

2012年10月23日

 昔は旧ソビエト連邦の衛星国だったモンゴルだが、今、ロシアとの経済交流はかつてほど活発ではない。輸入額こそロシアが1位を保つものの、その大半はガソリンなどの燃料だ。市民にとっての存在感は中国に大きく劣る。運送業で働くモンゴル人は、「活気ある中国国境に比べて、北部のロシア国境は荷の量も人の数も寂しいものです」と明かす。マネーの動きも同様。昨年のモンゴルへの投資額は中国からが10億ドル強だったのに対して、ロシアからは5800万ドルだった。

資源ナショナリズムが台頭する

 中国が決して好きなわけではない。だが、経済では中国に頼る以外に選択肢がない。そんな国民のフラストレーションを背景に、今年5月、外国資本を規制する法律が施行された。

 きっかけは今年4月、中国の国営企業・中国アルミが、モンゴルで炭鉱開発を進めるカナダの石炭企業を買収する計画を発表したことだ。モンゴル国会は猛反発。資源などの重点分野で、外資比率が49%を超える場合に政府の審査・議会承認を必要とする法律が制定・施行された。中国アルミは9月に買収断念を発表している。

 資源ナショナリズムが台頭する中、ここにきて国会を舞台に論争が起こっている。冒頭の、オユトルゴイ鉱山の権益だ。モンゴル政府の権益比率を、現在の34%から50%超に引き上げるべきという主張が激しくなっているのだ。

 日本大使館の清水大使は「中国を意識したものとはいえ、外国資本全体に影響が及ぶ法律が施行された上に、今度は、世界中が注目する鉱山のビジネススキームを稼働直前に変えると言い始めている。もしそうなればモンゴルの政治リスクを世界中に印象づけることになる」と懸念する。中国の景気減速の影響を受け、モンゴルからの鉱物輸出にかげりが出始めたとの声も聞こえてくる。モンゴルの急成長が続くかどうか、注視する必要があるだろう。

◆WEDGE2012年11月号より

 

 

 

 

 

 
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