2024年12月22日(日)

Wedge REPORT

2021年5月22日

生まれた団結意識

 導入した三井住友海上人事部の採用チームの甘田裕之さんは「内定者に対して月に一度開催していた懇親会・同期会を中止し、入社前のインターンシップの体験頻度の低下させたことで、同期入社社員の横のつながりが希薄になってしまった。人間関係の質を深める機会の“場”を構築するために『バヅクリ』を導入した。インターンシップはオンラインで行なっていたが、全国的に内定者を呼べない状況で、遠隔での交流会の自社開催も検討したが、自社では“真面目“感が強く、内定者の関係構築が困難だった」と導入理由を明かす。

 その魅力については「大きく分けて2つ。1つは“遊び“”楽しさ“があり、“真面目すぎない“プレゼンやクイズなどのコンテンツで学生がとっつきやすいという点。もう1つは、オンラインイベントを主催することに慣れているプロの講師に任せられる“安心感“がある点。“楽しさ“と”安心感“を両方担保することが重要であり、『バヅクリ』はそれを両立しているサービスだ」と評価する。

 約100人以上の内定者が体験したプログラムは、「おとなの図工」「マインドフルネス(瞑想)」「筋トレ」「演劇」「グラフィックレコーディング」「プレゼン」「クイズ」の合計7つで、この中から選んでもらったという。

 成果については「学生からも好評だった。真面目すぎないコンテンツで同じ何かを一緒にして、共通の目標に向けて取り組むことで、内定者間で団結できたと思っている。例えば筋トレのプログラムは、普段からスポーツが好きな人が参加して、趣味が同じ人たちが一緒になったことで、コミュニティができた。全国各地の内定者とのつながりができ、打ち解けることができ、採用担当者がコンテンツを準備する手間がほぼなくなった。物理的に会わないオンラインでも、チームビルディングは確立できそうと感じた。これは飲み会では得られない新たな発見だった。今後はWebで交流するための手段としてスタンダードに活用していきたい」と話している。

「来期も使いたい」

 このプログラムで気になるのが、人事担当者がプログラムに参加した内定者の対応ぶりを観察して、人事評価の参考にするのではないかという点だ。佐藤社長は「人事担当者は最初の挨拶くらいはしてもらうが、プログラムには参加しないでくださいとお願いしている。人事担当者が見ていると、参加した内定者の気持ちが委縮して自由にできないため」と述べ、人事評価に影響しないことを内定者に対して担当者が約束してもらっているという。

 「人事担当者からは、参加する内定者は全員が公平に扱われるので、地方出身者などが不利益を被ることもないので、公平なプログラムだと評価してもらっている。効果を実感した担当者からは、コロナ禍と関係なく『来期も使いたい』という声もある」と自信を深めている。


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