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2021年6月11日

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主要7カ国(G7)首脳会議が開かれる英南西部コーンウォールで10日、ボリス・ジョンソン英首相とジョー・バイデン米大統領が初めて対面した。ジョンソン首相はバイデン大統領に「新鮮な息吹」を感じると評価した。両国で懸案となっている北アイルランド和平の維持についても、バイデン大統領と「完全に協調」していると述べた。

G7首脳会談は11日に始まる。新型コロナウイルスのパンデミックが始まって以来、各国首脳が対面で集まるのは初めて。新型コロナウイルスワクチンや気候変動などが主要議題になる見通しだが、北アイルランド問題も注目されている。

G7に先立ちバイデン大統領と会談した後、ジョンソン首相は記者団に対して、アメリカが「安全保障、北大西洋条約機構(NATO)、気候変動など、たくさんのことについて我々と一緒に取り組みたい意向」だと話した。

イギリスの欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)後の北アイルランドをめぐり、通関手続きなどでイギリスとEUが紛糾(ふんきゅう)している問題では、バイデン大統領はこれまで北アイルランド和平合意(ベルファスト合意)を損なうことになってはならないと苦言を重ねていた。

これについてジョンソン首相は記者団に、バイデン氏とは「完全に協調」していると述べ、米・英・EUはいずれも、1998年の和平合意を守りたいという点で一致していると話した。

初の首脳会談で両首脳は、大西洋間の渡航再開へ向けたタスクフォース設置で合意した。新型コロナウイルスのパンデミック開始以来、アメリカは例外を除いてイギリスからの入国を原則禁止している。

両首脳はさらに、世界的な課題に両国が協力して取り組むと約束する「大西洋憲章」にも合意した。

ジョンソン首相は、「(米英の関係を)再確認するのは非常に重要で、最高の会談だった。長時間続き、幅広い話題について話し合った。バイデン政権とジョー・バイデン氏の話を聞くのは、素晴らしいことだ」と述べた。

バイデン大統領は、「大西洋憲章」が「サイバーセキュリティー、最先端技術、地球全体の公衆衛生、気候変動などといった、この世紀の主要な課題」に取り組む内容になると述べた。

大統領はさらに米英の間の「特別な関係」を再確認したと話した。「特別な関係(special relationship)」と言う表現は第2次世界大戦後、当時のウィンストン・チャーチル英首相が演説で使うなど、両国の政治家同士が繰り返し強調してきた。

「我々は特別な関係を確認した。これは軽々しく口にするものではない。両国の人たちの特別な関係だ。そして我々は、両国が共有する民主主義の価値を守り続けるという責任を確認しあった」と、バイデン氏は話した。

ジョンソン首相はBBCに対して、人権や国際規範に立脚する国際秩序、大西洋をはさんだ同盟関係などを重視する理念を両国は共有しているとして、両国関係は「不滅の関係」、あるいは「深く意味のある関係」だと認識していると話した。

「非常に長い時間を永らえ、欧州だけでなく世界各地の平和と繁栄に重要な役割を演じてきた関係だ」と、ジョンソン首相は英米関係について述べた。

首脳会談に先立ち、両首脳夫妻は写真撮影に臨み、プレゼントを交換した。自転車に乗るのが好きなことで知られるジョンソン首相はバイデン夫妻から、アメリカ製の自転車とヘルメットを受け取った。

ジョンソン首相はバイデン氏に、19世紀に奴隷制に反対した元奴隷の活動家フレデリック・ダグラスの写真を贈呈。ファーストレディのジルさんには、ダフニ・デュモーリエの短編集「りんごの木」の初版本を贈った。

北アイルランドもG7の議題に

11日夜にはエリザベス女王、チャールズ皇太子夫妻、ケンブリッジ公爵ウィリアム王子夫妻などが出席するレセプションが開かれる。

チャールズ皇太子はこのほか、G7首脳と世界的大企業の経営者を集めたレセプションを開き、気候変動対策のため民間と政府がどう連携していけるかを話し合う。ウィリアム王子も出席する

新型コロナウイルスワクチンや気候変動などがG7の主要議題になる見通しだが、ブレグジット後の北アイルランド問題も注目されている。

2019年のブレグジット協定の際には、EU加盟国のアイルランドと陸続きの英・北アイルランドの間に、和平合意前のような厳格な国境を復活させず、和平プロセスを維持することで合意が成立。この「北アイルランド議定書」にもとづき、同じイギリスのイングランド、スコットランド、ウェールズと北アイルランドの間で物が行き来する際に、通関手続きを行うことになった。

北アイルランドではこの取り決めをめぐり、イギリスとの一体性を重視する統合派から、「アイリッシュ海に国境が敷かれたに等しい」と反発が高まっている。また現地企業からは物資の流通が複雑になり、サプライチェーンが混乱していると不満が出ている。

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イギリスは北アイルランドの通関手続きの条件緩和を求めているが、EUは現行の仕組みを堅持したい考え。

この問題について10日夜に質問されたフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、「長年の議論と作業を経てやっと12月に確定したばかりの取り決めを、7月になって検証しようというのは、まじめではないと思う」と答えた。「何年もかけて大変な思いをして話し合った貿易協定を半年後に、『交渉した内容をどうやって履行したらいいのか分からない』などと言い出したら、もはや何も尊重できないことになる」。

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、北アイルランド議定書が「唯一の解決方法」で全面履行が必要だと述べている。

一方バイデン大統領は就任以来、アメリカが北アイルランド和平実現のため1998年に仲介したベルファスト合意の維持の重要性を、繰り返し強調している。

バイデン政権のジェイク・サリヴァン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は今回の首脳会談の前にBBCに対して、イギリスとEUで北アイルランドをめぐる今も続く貿易摩擦が、北アイルランド和平を脅かすのではないかと「深く」懸念していると述べた。

首脳会談でバイデン氏がその懸念をあらわにしたか記者団に質問されると、ジョンソン首相は「いいや、していない」と答えた。

(英語記事 G7: Joe Biden is breath of fresh air, says Boris Johnson

提供元:https://www.bbc.com/japanese/57437294

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