ドラスティックな決断に踏み切れ
重鎮の広島OBは佐々岡監督の手腕を次のように指摘する。
「正直に言えば、指揮官として佐々岡監督は優し過ぎるところもある。試合後のコメントも自分についてのことは棚に上げて、ただ単にボヤいているだけだから自信がないように見られてしまう。選手たちに直接面と向かって厳しい言葉をぶつけたり、あるいは鼓舞したりするようなことを行えば、チーム内に違った流れを生み出す形にもつながるはずだが、そういう鬼の一面を見せたという話は残念ながら伝わってこない。
現状のいわゆる〝ソフト路線〟は、これまでのカープの伝統とチームカラーに照らし合わせると、どうしても不適格ととらえざるを得ないだろう。もともと今季のカープは即戦力の新人に加え成長株も有していることで投手陣、野手陣ともに12球団の中でも能力が高い選手が幅広く揃っていると評判が高いはずだった。それがここまで歯車が噛み合わずガタガタになっているのはコロナショックだけが、その要因ではない。やはりベンチのマネジメントに問題がある」
その指揮官の選手起用で「甘過ぎる」とささやかれているのが、迷えるプリンス・堂林翔太に対する〝重用ぶり〟だろう。12日の試合ではスタメン起用したものの3打数無安打で結果を残せずじまい。13日現在、打率1割台に沈んで悪戦苦闘中だ。
「堂林には思い切って二軍行きを命じ、ファームでリフレッシュさせたほうがどう考えてもいい。彼の力は間違いなく必要になる時が来るし、まずは下で調子を取り戻させることが先決。にもかかわらず、今の状態のままグダグダと一軍に置いておけばチーム内に悪循環を生むだけ。そういう観点から考えても、佐々岡監督を筆頭に首脳陣がドラスティックな決断に踏み切れないのは非常に不可解だ」とも前出のOBは厳しい口調で説いている。
かつての正遊撃手・田中広輔も堂林と同じく13日現在で打率2割を切り、目を覆いたくなるようなスランプにあえぎつつベンチ要員に甘んじている。戦力になっていないメンバーを今の苦しい一軍にわざわざ置いて貴重な枠を使えば、単に足かせとなるだけだろう。私情が絡んでいるからなのか、あるいは別の何らかの事情が介在しているからなのか――。いずれにせよ円滑な選手の入れ替えができないのであれば、やはり佐々岡監督を含め首脳陣は「不適格」と糾弾されても仕方がない。
早々と佐々岡監督には今季限りでの退任説までウワサされ始めている。結果が伴わなければ、プロ野球は何を言われても弁明できない世界だ。それでも選手個々のレベルは十分高いはずだけに投打の歯車さえ噛み合えば、まだカープが巻き返せる可能性は残されている。危機感を覚えた指揮官のタクトが今後別人のように冴え渡り、奇跡の進撃で巻き返しを図れるか。鯉党は元気のないチームや不可解な「佐々岡采配」にイライラを募らせながらも、本心では夏場のミラクル反攻を願っているはずである。
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