2024年4月25日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年11月9日

 他方、イランとしては、経済制裁の効果は相当深刻なものがありますが、核の平和利用はNPTが認めている原則であり、その権利を制限する代償としては、大幅な制裁解除以外あり得ません。バグダッドやモスクワの会議で、西側が提案した些細な代償(例えば航空機の部品供与)などでは到底降りられないということでしょう。

 ひるがえって、何が最も望ましい最終解決かと言えば、それは、イラン国内の体制変革です。ホメイニ革命以来すでに、33年を経ており、いつかは国民の倦むところとなっていることは予想されます。イランの若者は親米的であり、経済的困難は、制裁によるよりも現在の政府の政策によると感じているようである、という観察もあります。

 このチャンスを逸しないためには、現状の経済制裁を続けた方がよく、それが最善策なのではないかと思われます。その間イランが、一、二の核弾頭を製造する可能性は排除できません。しかし、アメリカのインテリジェンス能力、軍事能力からすれば、それを破壊する作戦は可能でしょう。

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