ロムニー陣営のヒスパニック票対策について「雇用と経済にフォーカスすること」の重要性を指摘し、ヒスパニック系がオバマ政権下の経済でダメージを受けていることを理由に掲げる。
「ロムニーはどんどん表に出て、なぜロムニーの政策はヒスパニック系全体に対して良い事なのかと述べる必要があるのです。移民問題はヒスパニック系の間でもナンバー1の争点ではありません。我々はとにかく今は、経済に関心があるのです」
ヒスパニック系の関心事は経済に収斂か
しかし、その経済についての最新の世論調査はオバマに加勢しているように見える。ピュー・リサーチ・センターの調査プロジェクトであるピュー・ヒスパニック・センターが2012年11月2日に発表した世論調査では、ヒスパニック系の半数(51%)が「アメリカの進む方向性に満足している」と回答し、2011年度の回答(38%)よりも13ポイント上昇している。
もちろん、「個人的な財政状況」となると、「とてもよい状態」あるいは「よい状態」と回答しているのは33%で、ヒスパニック系以外の一般(43%)の回答よりも低い数値となっている。ただ、全体としてヒスパニック系の73%が「財政状況は来年には好転する」と回答しており、楽観志向が浮き彫りになっている。この期待感がオバマ2期目への期待か、ロムニー政権への期待かは解釈が分かれるところで、別の調査と重ね合わせて判断する必要がある。
今回の大統領選では、ヒスパニック系の有権者登録者の間で、雇用と経済が「きわめて重要」な争点だとされていることが解釈の鍵になろう。冒頭で紹介したCNNの調査では、ヒスパニック系の関心事は、経済44%、移民政策14%、教育14%、医療保険11%、財政赤字6%、アフガニスタン情勢3%、テロリズム2%、エネルギーおよび環境政策2%、その他2%となっている。移民政策は教育と並んで2位であるが、経済があまりに突出している。また、68%が「オバマ大統領は経済政策で上手な対応をする」と答え、同じく69%が「オバマ大統領は雇用対策で上手な対応をする」と回答している。
ピュー・ヒスパニック・センターの調査に見られるヒスパニック系の「楽観論」は、CNNの調査と重ねて判断すれば、オバマ政権2期目への期待感とも考えられる。共和党のエストラダ氏がロムニー陣営と共和党に警告を発していたように、今回の選挙でのヒスパニック系の関心事は経済に絞られている中、「ヒスパニック系にとって、ロムニーの経済政策が具体的に何のメリットを生むのか」の説明が、具体性を伴って浸透するかが、共和党のヒスパニック票対策(アウトリーチ)に欠かせない。