2024年7月13日(土)

渡辺将人の「アメリカを読む」

2012年11月5日

 フロリダ州の場合、問題はヒスパニック系のサブカテゴリー別の動向だ。フロリダ国際大学の調査では以下のようになっている。

 キューバ系(オバマ37%、ロムニー57%)、メキシコ系(オバマ62%、ロムニー38%)、プエルトリコ系(オバマ61%、ロムニー36%)、ドミニコ系(オバマ78%、ロムニー14%)、中央アメリカ系(オバマ57%、ロムニー41%)、南アメリカ系(オバマ60%、ロムニー35%)

 キューバ系は反共移民が多く伝統的に共和党支持であり、今回の調査でもロムニー支持が突出している。共和党「期待の新星」であるマルコ・ルビオ上院議員の両親もキューバからの亡命者である。両親がアメリカ生まれではない「外国人」だったことが共和党内の保守派では疑念を生んだが、それを乗り越えるだけの「アメリカンドリーム」の体現者でもあり、ヒスパニック系の英雄でもある。

ロムニー勝利にはキューバ系票と若年層の動向が鍵に

 キューバ系票がどう動くかが、ロムニーがフロリダ州を取れるかの鍵の1つになるだろう。というのも2008年の選挙では、キューバ系の若年層が共和党離れを起こす現象があったからだ。2008年のオバマを支持する若年層フィーバーは、伝統的な共和党支持層のキューバ系コミュニティにまで入り込み、2008年にオバマはキューバ系の35%の票を奪った。民主党候補としては歴史的な食い込みだった。

 若年層のキューバ系はカストロに上の世代と同じような感情を抱いていない。キューバ系内で世代間の政治観格差が生まれている間隙を突いて、若年層の期待を集める「反ワシントン」の「アウトサイダー」候補として2008年のオバマが台頭したことで、キューバ系の共和党支持に一定の変容が生じた。しかし、2012年のオバマは現職大統領で、「アウトサイダー」色はアピールできない。今回も同様の若年層キューバ系票が取れる保証はない。

 オバマ陣営はシカゴに再選本部を立ち上げたときからヒスパニック票のためのスペイン語とのバイリンガル・キャンペーンに力を入れてきた。筆者が2011年8月にオバマ陣営本部を訪問した時点で、既にメディア戦略の幹部にもヒスパニック系が就任して万全の態勢を整えていた。オバマ陣営は200万ドル近くの広告費をスペイン語放送でマイアミに投下している。しかし、ロムニー陣営もそれに匹敵する広告をスペイン語で打ってきている。

 ルビオ上院議員などキューバ系の「顔」に若さを象徴する人材が出てきたことも、ロムニーに一定程度加勢しているだろう。2008年のキューバ系「オバマ・ボーター」が2012年に「ロムニー・ボーター」になることがなくても、「ルビオ・ボーター」になる可能性は十分にある。あとはGOTV(直前動員)と投票率次第である。

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