ニコ動であふれる
キャスター萌えコメント
日経CNBCは、東京証券市場の取引時間に合わせて番組を編成している。東京市場の取引時間には前場(9:00~11:00)と後場(12:30~15:00)がある。市場が盛り上がる場の始まりと終わり(前場はそれぞれ「寄り付き」と「前引け」、後場は「後場寄り付き」と「大引け」と呼ばれる)にあわせて放映される、市場動向をリアルタイムで解説・分析する「LIVE番組」が売りだ。
となると、いかんせん強みは昼間の時間帯となる。その上、テレビ経由だから、どうしても視聴者は高齢者と主婦層が中心となり、現役のビジネスパーソンにはアプローチしにくい。
ネット放送のインフラとしては、USTREAMとニコニコ動画を活用する。日経グループは以前からUSTREAM上で「NIKKEI Channel<Business>」「NIKKEI Channel<Culture>」という2種類の映像コンテンツを配信しており、今回の新サービス「NIKKEI Channel <Markets>」は、3つめのチャンネルとなる。
注目すべきはニコニコ動画との協業だろう。ニコ動の会員数は2700万人。うち月額525円を払い込むプレミアム会員は160万人に迫り、2012年度内にも200万人を突破する見通しだと報道されている。広告モデルではなく課金モデルとしてビジネスを確立している、傑出したインターネットメディアである。
ニコ動で特筆すべきなのは、顧客層が圧倒的に若いことだ。20代、30代が全体の6割強を占め、20代の8割がニコ動を利用しているという記事もある。
ニコ動には、番組ごとに料金を支払う必要のある有料チャンネルが50ほどあり、「NIKKEI Channel <Markets>」はその1つとして新たに加わることとなる。
サービス開始直後の1週間(10月15~19日)は、開設記念として、ニコ動で各日23時から1時間強の無料番組を配信した。「20代、30代が来訪者全体の6割強を占めた。これはCSの視聴者とは重ならない層。若い世代にもマネーや投資に興味がある人が多く存在することが確信できた」(前出の直居氏)。
10月18日には、東京・原宿のドワンゴ本社内にあるスタジオで『マーケッツに聞け!』と題した記念番組の生収録を実施した。掲げたコンセプトは「世の中の“ほぼ”森羅万象はマーケットのどこかに映されている」というものだ。中空麻奈・BNPパリバ証券投資調査本部長、真壁昭夫・信州大学経済学部教授、田中秀臣・上武大学ビジネス情報学部教授ら多彩なゲストを招き、ニコ動ならではの「コメント」や即興アンケートを通じて、マネーとマーケットの話題を分かりやすくユーザーと共有する。日経CNBCらしからぬ「ゆるい」番組に仕上がった。