2024年4月29日(月)

Wedge REPORT

2012年11月28日

宮古島と伊良部島の間に建設中の伊良部大橋。全長は3450メートルで無料で通行できる橋としては全国最長となる。総工費は380億円で、15年に完成予定。多額の建設費に見合う効果があるのか首を傾げる住民も

 この伊良部島と地域の中心にあたる宮古島を結ぶ橋の建設が進められている。全長3540メートル、総工費は380億円。無料で通行できる橋としては全国で最長となる。伊良部島では「多くの観光客がやってくる」と期待する住民もいるが、「交通事故が増え、一気に住民が流出してしまうだけで多額の建設費をかける意味はあるのか」と効果を疑問視する見方も多い。

 地元では「せっかく空港があるのだから、自衛隊を誘致するしかない」との声も少なくない。05年には合併前の地元町議会が自衛隊誘致の請願を可決したこともあったが、軍事目的での利用へのアレルギーが強く、その後の住民集会などで異論が噴出。町議会で請願を白紙撤回する議決が行われる異例の事態となった。当時の町議会議員は、「すでに航空各社の訓練回数が減り始め、いずれ現在のような事態になることが見込まれた。誘致の請願は島の振興のための苦渋の決断だった」と振り返る。

 昨年には北澤俊美防衛大臣(当時)が「災害支援の拠点空港としたい」との構想を明らかにするなど、防衛省もこの空港には少なからず関心を持っているが、71年に日本政府と当時の琉球政府の屋良朝苗主席の間で、航空訓練と民間航空以外に使用しないことを確認した覚書が交わされており、自衛隊が利用するのは容易ではない。

 関係者によると、この空港を5年程前に中国政府関係者が視察したという。尖閣諸島から200キロしか離れていない島にこれほどの規模の空港があるのだから気になるのだろう。遊休施設となれば喜ぶのは誰だろうか。

[特集] 尖閣諸島問題

◆WEDGE2012年12月号より

 

 

 

 

 

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