「もう疲れた……。
安心して働きたい」
しかし、不安もある。40歳を過ぎた頃から派遣社員としても派遣先が決まりづらくなったという。コロナ禍によって正社員だった人が派遣に流れてきていることに加えて、年齢も不利になっているのではないかということだ。「失業保険も、いつまでも続くわけではなく、就活にはエネルギーが必要でもう疲れた。早く安心して働きたい」と、女性は本音を語ってくれた。
前出のスタッフは「プログラムに参加する40代の女性が増えている。年齢を重ねることで派遣の更新も難しくなっていて、そうした人が正社員となる最後のチャンスと考えるようになっているのでは」と分析する。
これまでも就職氷河期世代への支援のプログラムは10年以上続けられているが、世代の〝高齢化〟を背景に、昨年就職エクスプレスの対象年齢が44歳から54歳に引き上げられた。
5日間の就活エクスプレスを終えると、3カ月間ジョブコーディネーターが付き添いで就職活動を行うことになる。「スタートはここから。プログラムに参加してモチベーションは上がるが、それを維持していくことが大変」(ジョブコーディネーターのスタッフ)。
東京しごとセンターでは、この他にも「東京しごと塾」という、正社員として就職し働き続けるために必要なスキルを実践的に学ぶプログラムもある。ここでは、「自信が持てない人」や「非正規の経験が長い人」などを対象として2カ月間の職務実習を経て就職活動を行い、就職後も定着支援を行うという手厚い内容となっている。
政府の3カ年計画でハローワークにも就職氷河期世代の専用窓口が設けられた。横浜わかものハローワークの川口修就職促進指導官によれば「求職者は週1回、通ってもらい支援者と1時間面談をする。このように互いの信頼関係を作りながら、3カ月間マンツーマンで伴走する」という。
求人する企業側については「『過去は変えられないが、未来は変えられる』と、採用してくれる企業もあり、結局のところは人材育成に前向きかどうかという、経営者のマインド次第」と指摘する。