支える側も手一杯
という現実
かつては30代までだった就労支援対象となる〝若者〟の対象年齢が、40代、50代へと、この20年近く上がり続けている。より年齢が上の人にまで支援の手が広くなることは良いことのように思えるが、実際に支援する側の苦労は増す一方だ。
若年就労支援を専門とする認定NPO法人「育て上げネット」の工藤啓理事長は「支援するといっても15歳と44歳では、その内容は全然違う。年齢によって多様な困りごとがあるわけで、一人の支援者が全方位で対処できるわけではない」と話す。予算も限られるなかで、結果として支援する側の現場が疲弊しているのだ。
ハローワークでも状況は厳しい。2000年代に入り、人員削減が進められ、「ハローワークの職員の半数以上が非正規雇用」(関係者)との声も聞こえてくる。支援を通じて経験が積み上がり、コミュニケーションスキルも高まっていくはずで、このような人材は、求職者にもプラスに働くはずだ。
最後に、就職氷河期世代のもう一つの問題が「ひきこもり」だ。今後、社会的にも大きな課題となる。内閣官房就職氷河期世代支援推進室の朝比奈祥子企画官は「支援メニューを使う、その入り口まで来てもらうことが大変な人も少なくない」と話す。
非正規雇用から正規雇用を増やしていくことは大事だが、「正規雇用」だけが解ではない。長期間ブランクがあった人は、まずはアルバイトや非正規雇用で働くことに慣れていくといったことも大事になる。「氷河期世代」と呼ばれるような、時代によって幸と不幸が左右されない、個人が主体的に選ぶことができる雇用のあり方を、再設計していく必要がある。