ハウステンボスの黒字化も、澤田社長の登板時に、債務整理されたことが大きい。12年9月期決算では152億円の売上で42億円の最終利益を上げた。589億円の売上でも赤字だった頃とは雲泥の差だ。
テーマパークの運営は、損益分岐点を超すことに尽きる。財務面の改革を実施しながら、コストを下げて入場者数を増やす営業面の改革を迅速に行う。両社とも、過去の「こだわり」を捨て、少ない投資で最大のリターンを得る方策を模索した。強烈なこだわりと大規模投資に裏打ちされた「ディズニーモデル」を脱することが、再建の要諦なのだろう。
アジアで沸き起こるテーマパークブーム
USJは約450億円を投じて14年にハリー・ポッターのアトラクションを新設する。「海外からお客様を呼ぶ目玉」(森岡氏)だ。ハウステンボスも、12年2月に就航させた片道7800円の長崎─上海航路でアジアからの集客を増やす考えだ。
アジアでは、韓国(ユニバーサル・スタジオ)、中国(上海ディズニーランド、浙江省ハローキティパーク)、マレーシア(レゴランド)など続々テーマパークが開業する。USJは海外進出を目論み、「インドや中国などの候補地でリサーチしている」(森岡氏)というが激戦は必死だ。
黒字化した両社は、再投資を用いた成長フェーズに入っていく。投資バランスや、新規事業の困難さはオリエンタルランドが悩み続ける課題でもある。「脱ディズニー」で復活した両社が、「ディズニー」と同じ悩みを抱えたとき、どんな解を出すのか要注目だ。
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