開業した年をピークに尻すぼみとなっていたUSJとハウステンボス。
それぞれ「映画」と「オランダ」へのこだわりを捨てて業績は回復した。
開業当時と異なる姿になった両テーマパークの「今」を取材した。
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テーマパーク業界が好調と言われているが、実態は少し異なる。この業界の特徴は、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド1社で全体の約半分を占めることだ(右グラフ)。同社の2012年度上半期の業績は過去最高。これが、業界全体の数値を押し上げた。
帝国データバンクの伏見友希氏によれば「大半のテーマパークは依然として厳しい。11年は126社のうち73社が減収」。しかし、「改革に成功し、業績を伸ばすテーマパークがある」(桜美林大学・山口有次教授)。キーワードは「脱ディズニー」だ。
「映画だけにこだわるのはもうやめました」。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市此花区)の森岡毅執行役員はそう語る。
USJの入場者数は開業した01年度の1100万人をピークに09年度には700万人台まで落ち込んだ。しかし、11年度は880万人、12年度は開業年度以来となる1000万人超えを見込む。ハローキティ、ワンピース、モンスターハンターなど映画以外のコンテンツを積極的に取り入れたことが奏功している。
森岡さんはP&G世界本社で168カ国のマーケティングを担当していた。10年にUSJへ転職した後、まず顧客分析に着手したが、主ターゲットであるはずのファミリー層の割合が2割しかないことに驚いた。
「以前の目玉は、ジョーズ、ターミネーターなど、子どもが怖がるキャラクターばかり」。ファミリー層獲得のため、12年3月にオープンしたのが「ユニバーサル・ワンダーランド」だ。子どもが好きなハローキティ、スヌーピーなどを起用した28の施設を1箇所に集めた。
映画以外のコンテンツの導入を強化したのは04年だが、結果は出ていなかった。「ファミリー層獲得には子どものゾーンが必要で、点在していた子ども向け施設の集約が不可欠でした」。