世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年11月12日

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 10月22日付の英フィナンシャル・タイムズ紙の解説記事が、バイデン米大統領が台湾を中国の軍事攻撃から守ると述べたことについて、これは米国の台湾についての「戦略的曖昧さ」政策に反するものだが、同政権の高官の多くは政策転換に消極的であると報じている。

ronniechua / iStock / Getty Images Plus

 台湾をめぐる中国の軍事的攻勢が強まるなかで、バイデン大統領の発言が注目されている。それは、いざという時に米軍が台湾防衛のために駆けつけてくれるか否かの議論に直結している。

 バイデンは10月21日、テレビ番組において、台湾が中国に攻撃されたときに「アメリカは台湾を防衛するか否か」と質問された際、“Yes, we have a commitment to do that”と発言した。この発言はたしかに、これまでより一歩踏み込んだものと言える。米国には台湾の「防衛義務」がある、あるいは「防衛の約束」がある、とでも訳すべき発言だ。

 サキ大統領報道官は、その発言の直後に、これは米国の対台湾政策の変更を意味するものではないとして、米国としては台湾の自衛を引き続き支持し、台湾問題の一方的な現状変更には反対することに変わりはないと、従来通りのラインの説明を行った。

 フィナンシャル・タイムズの記事は特段新味のあるものではないが、米・中・台関係についての安全保障上の問題をバランスよく解説している。

 もともと、中国の「一つの中国原則」には極めて曖昧な中国の一方的主張があり、これに対し、米国は米国でこの曖昧な主張を米国なりに同床異夢的に解釈してきたところがある。バイデンの前述の発言もその曖昧さの産物と呼んでも良いだろう。

 振り返ってみれば、1978年、米中が国交樹立した際の共同声明の中で、米国は「中国はただ一つ、台湾は中国の一部である、という中国の立場を『認識する(acknowledge)』」と述べた。このacknowledgeという言葉は法律上の「合意」とか「承認」を意味するものではない。

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