2024年11月24日(日)

世界の記述

2021年9月26日

 イスラム主義組織タリバンがアフガニスタンの権力を奪還する中、協力者を置き去りにしながら撤退する米軍の姿に、台湾のメディアにはいっせいに「今日のアフガンは、明日の台湾」の文字が躍った。民進党政権による安全保障の対米依存を批判する声が噴出する一方で、与野党問わず若手政治家からは、自主防衛を強化せよとの訴えが相次いだ。

台湾はあくまで自らが最前線で戦うとの決意を強める ​
(SOPA IMAGES/GETTYIMAGES)

 蔡英文総統は2020年の総統選挙で、香港の反中デモと弾圧を「今日の香港、明日の台湾」とキャッチーに表現、危機感をあおり自身の圧勝につなげた。タリバンによるカブール陥落直後から、野党・国民党系の有力者は「今日のアフガン」の言葉で、政権の対米依存を批判し始めた。

 台湾メディアによると、国民党系の欧鴻錬元外交部長(外相)は、1975年の米軍のサイゴン撤退を例に挙げ「北ベトナム軍やタリバンですら、この慌てぶりだ。台湾海峡で、中国海軍と衝突したらどうなるか、想像に難くない」と語り、米軍の能力を憂慮した。

 国民党の馬英九政権時代の台湾国家安全会議(NSC)で事務局長を務めた、外交安保分野の大物である蘇起氏も、ネット上の番組で、米国の能力に対する疑念を表明。今回の「ぶざまな撤退」で、台湾だけでなく、北大西洋条約機構(NATO)など同盟国が不信感を覚えたとして「米国が急いでなだめないと、今年上半期に行った外交的努力はすべて白紙になる」と述べた。

 蘇起氏は、今回の失敗について、バイデン大統領個人でなく、米NSCや国防総省、米中央情報局(CIA)など安全保障部門の欠陥が露呈したと指摘。蘇氏は、米国には台湾防衛の気持ちはあるものの能力不足だとして「米国は台湾を愛しているが、最後は涙目で『アイムソーリー』と言うだろう」と皮肉った。

 一方、民進党の国会議員団の書記長を務める、若手のホープの羅致政議員は、オンラインの記者会見で、「今日のアフガン」の見方に対し「アフガンと台湾は似ても似つかない」と一蹴。「アフガン政府軍はすぐに武器を捨て投降した。こんな軍隊は助けられない。自ら防衛してこそ、国際社会の支持も得られる」と述べた。

 また、台湾最大級のニュースサイト「ETtoday新聞雲」によると、台北市の国民党の若手女性市議、徐巧芯氏はフェイスブックで、アフガン政府軍に戦闘の意欲がない以上、米軍が支援しないのは当然と指摘した。

 さらに「戦場に行き国家を守るのは、絶対にわれわれ自身だ」と述べ、徐市議は「中国への抵抗は、決意だけでは足りない。政府は徴兵制を復活させるべきで、女性も軍事訓練をする必要がある」として戦力の強化を訴えた。

 いずれにしても台湾人の多くは、アフガンの事態を他人事と見ていない。

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人をすり減らす経営は もうやめよう
人をすり減らす経営は もうやめよう

日本企業の“保守的経営”が際立ち、先進国唯一ともいえる異常事態が続く。人材や設備への投資を怠り、価格転嫁せずに安売りを続け、従業員給与も上昇しない。また、ロスジェネ世代は明るい展望も見出せず、高齢化も進む……。「人をすり減らす」経営はもう限界だ。経営者は自身の決断が国民生活ひいては、日本経済の再生にもつながることを自覚し、一歩前に踏み出すときだ。


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