8月22日付のTaipei Timesの社説が、バイデンの台湾へのコミットメントの発言について、米国の台湾に対する政策は変わらず、台湾は米国および他の多くの国々との非公式な関係を強化することで影響力を可能な限り拡大していくのが現実的である、と説いている。
米国軍のアフガニスタン撤収を見て、台湾では一時「今日のアフガニスタンは明日の台湾」という見方が広まり、米国への信頼が大きく揺らぐ現象が見られた。それに対して、バイデン大統領は、8月17日の米ABC放送とのインタビューの中で、米国の同盟国へのコミットメントは、アフガニスタンと比較になるものではないとして、同盟国への米国のコミットメントの信頼性は変わるものではないと強調した。
この時、バイデンは意図的か、あるいは、勘違いによるものかはわからないが、台湾へのコミットメントを日本、韓国と同列の「同盟国」の重要性を持つものとして取り上げた。そして、「我々は、NATOの同盟国に侵略や攻撃をするものがあれば対抗措置をとるという北大西洋条約第5条に厳粛にコミットしている。日本、韓国、台湾についても同様だ」と述べた。台湾の人々はこのバイデンのインタビューの記事を歓迎し、喜んだと報道されている。
8月22日のTaipei Timesの社説は、このような台湾における米国への見方の動揺ぶりを踏まえ、「米国の台湾政策は変わらない」、米国の信頼性に一喜一憂することはない、として冷静かつ現実的に米台関係を維持・発展させるべしと述べており、傾聴に値する内容となっている。
アフガン後の米国の対台湾政策は、米中台の対立を含め、これからその真価を問われることとなろう。
人民日報系の機関紙「環球時報」は社説のなかで「台湾の最良の選択肢は、米国に頼って中国大陸に反抗するという路線を大幅に軌道修正することだ」と揺さぶりをかけた。これに対し、台湾の蘇貞昌・行政院長(首相に相当)は「アフガンが陥落したのは内政が乱れたことが理由で、内政が安定している台湾は如何なる侵攻にも対抗できる」と反論した。
また、蔡英文総統は「台湾の唯一の選択肢は自らをより強くし、より団結することだ」と述べ、「民主と自由の価値を堅持し、国際社会で台湾の存在意義を高めることが重要だ」と強調した。