世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年10月28日

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 台湾の邱国正・国防部長(国防大臣)は、立法委員会(議会)での答弁で、中国軍の能力について、「2025年には本格的な台湾への軍事的侵攻が可能になる」との認識を示した。そのうえで、目下、中国と台湾の軍事的緊張が過去40年間で最も高まっている、との強い危機感を示した。

 中国による武力侵攻の可能性については、「中国が現時点で侵攻することは可能であるが、そうすれば、大きな代償を支払うことになる。しかし、2025年からであれば、代償が小さくなり、全面的侵攻が可能になる」と発言した。

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 この邱の発言の背後には、米国軍指導部の最近の見方が大きく影響したのではないかと見られる節がある。米国軍指導部の内部では、近い将来において中国の台湾軍事侵攻の可能性はそれほど高くはない、との見方がある一方、米インド太平洋軍司令官デビッドソン(当時)が3月に示したように「今から6年以内に中国の台湾侵攻がありうる」との見方もある。最近の中国の台湾周辺海域での軍事活動を見ると、台湾防衛識別圏に侵入した中国軍機の数は昨年には380機だったのが、今年はすでに600機を超えている。

 習近平主席は、10月9日の辛亥革命110周年記念式典において、共産党政権の悲願である「中台統一」については「必ず実現しなければならないし、必ず実現できる」と述べた。台湾独立を目指す動きを「祖国統一の最大の障害」として、独立志向の強い民進党政権を念頭に「台湾問題は純粋なる内政問題で、如何なる外部からの干渉も容認しない」と発言した。

 これに対し、蔡英文総統は台北における国慶節の式典において、中国による軍事的脅威の増大を踏まえて「台湾人民が圧力に屈するとは決して思ってはならない」と述べたうえ、防衛力を強化し、主権を持つ台湾2300万人の自由と民主主義を守るとの決意を改めて表明した。そして、中国との間では「現状維持」のために対等な対話を行うべし、との従来の主張を強調した。

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