2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年10月28日

 蔡英文はForeign Affairs誌の11/12月号にも‘Taiwan and the Fight for Democracy’と題する一文を寄稿し、次のように主張している。他の民主国家は、台湾が陥落するようなことがあれば、その結果は地域の平和と民主国家の同盟システムに破滅的なものとなる、ということを忘れるべきではない。台湾の陥落は、今日のグローバルな価値観の闘いにおいて、権威主義が民主主義に優ることを示すことになる。

米中台間の軍事情勢は緊迫化

 10月7日付けのウオール・ストリート・ジャーナル紙は、米国は過去1年間において、最小限1回、米軍と台湾軍の間において、共同の軍事演習をおこなったことがある、と報じている。同紙によれば、それは、米国の特殊部隊と海兵隊が台湾軍との間で極秘裏に行った訓練活動であった、という。

 事実のほどは詳らかではないが、防禦用の兵器を台湾に提供するという内容を持つ「台湾関係法」という国内法を有する米国が、台湾兵を訓練するため共同の軍事訓練を行った、としても不思議ではない。それほど、米国を含む中台間の軍事情勢が現実に緊迫化しつつある証と見てよかろう。

 前出の辛亥革命110周年において、習近平が孫文の肖像画の掛けられた北京の人民大会堂で演説を行った、ということは、「台湾統一」を含意する意味合いをもつものであったと思われる。中国共産党革命の源流が孫文の辛亥革命であった、という言い方は最近の中国共産党による歴史の歪曲であろう。

 孫文から続く「三民主義」の「中華民国」を取り込むという発想は、まさに今後の「台湾統一」の正当化のために必要とされるものであろう。

   
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