世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年11月30日

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 11月16日付のワシントン・ポスト紙に、同紙コラムニストのデイヴィット・イグネイシャスが「バイデンは中国と意図せざる紛争を避けるために巧みに対処した」との論説を書き、11月15日に開催された米中オンライン首脳会談を評価している。

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 この論説はイグネイシャスがバイデン=習会談の内容を知っている米高官の話を聞いたうえで書いたものであろう。会談の内容を知るうえで、示唆に富む論説である。

 バイデン=習会談は3時間以上行われたとされている。最初は友好的な雰囲気であったが、個別問題については、それなりに厳しいやり取りになったと報じられている。米中双方ともにこれまでの立場を堅持するのは当然予想されたところである。

 米中オンライン首脳会談では、人権等の問題にも触れられたようだが、北京五輪に関する言及はなかったとホワイト・ハウス報道官は述べている。イグネイシャスの論説では、バイデン大統領が、急速に核弾頭を増強している中国に対して懸念を表明したとされる。

 最近、米国防省が提出した中国軍事力レポートでは、2030年までに中国は1000発の核弾頭を保有するようになるだろうと予測されている。バイデン大統領は、「意図せざる紛争」を避けることの重要性を指摘したようであるが、今後、中国側は、共産党中央軍事委員会副主席を中心に、米国の高官と、両国の安定的戦略関係を保つための協議を開始する可能性があるという。

 今回の米中首脳会談で重要なことは、両国間の対話の継続が合意され、戦略的安定性その他今後話し合われるべき問題についてもおおよその合意ができたことだろう。習近平はいまや中国で並ぶもののない権力を持っており、習近平との対話は中国の政策に与える影響の面で極めて重要である。米中両首脳が現在の競争を対決や紛争にしないことに合意したと言ってよいと思われる。そのための「ガードレール」の内容について合意があったわけではないが、米中対決を管理していく意思が双方にあることが確認された。

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