本来の買取価格は約10円低い
設備補助金等を控除した買取価格はいくらだろうか(前頁図)。未利用材の買取価格は32円だが、前述のように筆者の再現結果は30円である。そこから設備補助金9・5億円を控除すると27円、チップ価格が8000円の場合24円である。両方を控除すると21円になり、32円の約3分の2になる。
5000kW級のバイオマス発電所の年間発電量は約4000万kWHなので、買取価格10円の違いは年間4億円に相当する。同規模の発電所が10~20と新設されれば、買取期間は20年間続くので、この無駄な費用負担は無視できない。
賦課金は電気料金に加算されるので、事業者は嘘のない説明が求められるし、調達委には適切な査定が求められる。しかし、現状は査定が機能しているとは言い難い。調達委は、計算諸元をまとめるだけでなく、価格設定の根拠をエクセルシートで公開する等して、透明性の確保に全力を尽くすべきだ。
他方で、前述のように未利用材チップ価格の査定は構造上限界がある。この条件下で、FITは全てのコストを認めているため、事業者にはできるだけ高く買取価格をつり上げる誘因が働く。
そもそも再生エネルギーを効率的に普及拡大させるのであれば、日本にふさわしい再エネを選ぶ必要がある。再エネは、いくら高くても買い取るという発想ではなく、再エネに出してよい価格から考えるとしてもよい。コストを積み上げ利潤を乗せて決めるのではなく、例えば15~20円を統一買取価格としてしまえば、安い再エネから順に入るようになる上に、構造上の問題も回避することができ、一挙両得である。
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