2024年6月20日(木)

2021年回顧と2022年展望

2021年12月31日

他国の猿真似では実現不能な減農薬、減化学肥料

 農業現場に遠いところで作られたのは、みどり戦略も同じだ。メディアの報道は、国の政策と歩調を合わせ、有機農業を礼賛する方向に進んでいるように見える。

 農薬と化学肥料を減らすという流れが避けられないという、国の状況判断は間違っていない。化学肥料は、空気中に無尽蔵にある窒素は別として、原料の多くが埋蔵量の限られた資源であり、世界的な化学肥料の需要増もあって高騰している。これまでのように作物が必要とする以上に過剰な施肥をして、経営にも環境にも負担を掛ける余裕はなくなっていくだろう。

 農薬は、環境や健康への影響が実際どうなのかはさておき、使用に敏感に反応する消費者が多い。農薬の使用を減らすという潮流は、もはや不可逆のものと思われる。消費者からの要望は、小売や中食・外食事業者の調達基準に反映されるので、農業現場は応えていかざるを得なくなる。

 しかし、だからといって有機農業に飛びつくのは、飛躍がありすぎる。その割合がわずかに0.5%(18年)という日本の現状と、あまりに開きがある。そもそも日本は高温多湿で病虫害が発生しやすく、欧米に比べると減農薬、減化学肥料の難度が高い。そんな不利な条件下で、いかに化学肥料と農薬を減らしていくか。これは、相当に厄介な課題だ。

 国に言いたい。聞こえの良い派手な数値目標を打ち出して、自分で自分に酔っていられるのは2021年まで。22年からは、地味に、そして地道に、日本農業に突き付けられた難題と向き合っていかなければならない、と。

   
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