2022年12月2日(金)

お花畑の農業論にモノ申す

2021年12月13日

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熊野孝文 (くまの・たかふみ)

元米穀新聞記者

1954年生まれ。東京経済大学中退後、コメの相場情報として米穀市況を速報する仕事に8年従事し、米穀新聞の記者として農家と卸売業者、小売店と、それぞれが取引する現場を40年取材してきた。近書に『ブランド米開発競争―美味いコメ作りの舞台裏』(中央公論新社)。

 2021年(令和3年)11月19日に霞が関の農林水産省会議室で開催された食糧部会。この席で農水省から示された22年産(令和4年産)の主食用適正生産量は675万㌧で、3年産生産量より21万㌧も減らさなくてはならなくなった。

 21万㌧と言うのはちょうど青森県のコメの生産量に匹敵する数量である。4年産は青森県一県分のコメを減らさないと需給バランスが保てないというので、農水省はこうした数値を示したのだが、令和3年産で過去最大規模の転作(6万3000㌶)を行っている。4年産ではさらに4万㌶上積みしてコメを減らさなくてはならないのである。

(Kwangmoozaa/gettyimages)

 コメの価格を維持するために供給量(生産量)を減らすという政策を続けていれば、いずれコメは市場から消えてしまう運命にある。世界的に穀物の価格が上昇しているなか、こうしたコメ減らし対策を続けるのが正しい政策と言えるのだろうか?

衝撃的な2030年コメ需要予測

 博報堂が1992年から2年おきに調査している「生活定点調査」に、「お米を1日1回以上食べないと気が済まない」と回答した人の割合が出ている。

 調査を開始した92年は71.4%の人がそう答えているが、2020年ではその割合が42.8%と過去最低を記録した。お米を食べないでも平気な人が約6割もいるというコメ業界にとっては暗澹たる思いになるデータである。調査データには年代別比率も出ているが、20歳台では約7割がお米を食べなくても平気だと答えており、もはや日本人は米食民族だとは言えなくなっている。

 調査研究機関の中にはコメの将来の需要予測で衝撃的と表現できる2030年の数値を示しているところもある。

 流通経済研究所が総務省の家計調査を基に作成した「穀類小分類の消費金額(市場規模)の伸び率の推移」というデータに、16年と30年を比べたコメ、パン、麺の需要減少率の比率が出ている。人口減少が進むためいずれの食品も減少するが、その比率はパンがマイナス1.8%、麺がマイナス3.9%であるのに対して、コメはなんとマイナス17.8%も落ち込むと想定している。まさに「コメの一人負け」になると予測している。

 流通経済研究所は同じ時期に生まれた人の生活様式や行動、意識などからくる消費の動向を調べる「コーホート分析」という手法を用いてこうした予測を出している。

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