2024年11月22日(金)

経済の常識 VS 政策の非常識

2013年2月6日

輸出が増えれば輸入も増える

 ただし、私はエコノミストとして、第3の回答を提示したい。輸出が増えるときには必ず輸入も増えているということである。

図:輸出と輸入と輸出入額差の動き 
(出所)財務省「貿易統計 商品特殊分類別表」
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 図は、日本の通関輸出額と輸入額、その差額、鉱物性燃料輸入額を示したものである。図から明らかなように、輸出が増えるときには必ず輸入も増えている。しかも、輸出が増加したときには輸出額から輸入額を引いた「純輸出」は減少し、輸出が減少したときには純輸出が増加する傾向がある。

 もちろん、2007年後半と2012年の純輸出の減少は鉱物性燃料輸入額の増加によるものだが、それ以外では明らかに、輸出が増加すれば純輸出が減る傾向がある。少なくとも、輸出の増大とともに純輸出が増える傾向はない。

 経済はゼロサムゲームではない。輸出を増やすためには、日本は原材料を輸入しなければならない。また、輸出が増えれば景気が良くなって、人々は支出を拡大する。グローバル経済となった現在では、日本人がお金を使えば、必ず輸入が増えるのである。

 輸出増加は日本の景気を回復させ、さらには世界の需要も拡大させる。金融緩和で輸出が増加しても、何も心配することはない。ドイツや韓国が不満であれば、自分たちも金融緩和すればよい。インフレが怖くてできないのなら自分の国の都合である。

 為替切り下げ競争など起きない。一部の歴史の教科書では、大恐慌期に為替切り下げ競争が起きて、世界恐慌が激化したといわれているが、これは間違った歴史の解釈である。全世界が金融緩和すれば全世界の景気が良くなるだけだ。良くなりすぎてバブルになりそうな国があれば、そんな国から引締めを始めればよい。

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