世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年3月18日

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 ブルッキングス研究所のロバート・ケーガンが、2月21日付のワシントン・ポスト紙で、ウクライナがロシアの手に落ちた場合に想定される戦略的・地政学的な大きな変動を論じている。

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 目下のところ、プーチンの作戦は一気呵成にウクライナを制圧し、ロシアの勢力圏に取り込むことを目指しているように見える。

 しかし、その成否は分からない。ウクライナのゼレンスキー大統領は重圧に良く耐えている。ウクライナは徹底抗戦の構えであり、首都が陥落しても、要すれば地下に潜って戦いを止めないかも知れない。

 プーチンは傀儡政権の樹立を目論んでいるであろうとの有力な観測があるが、高まる反プーチン感情に鑑みれば、そういう形でウクライナが収まるのか疑問であり、また、傀儡として適当な人物を見出し得るかのという問題(傀儡は直ちに暗殺の標的となろう)もあるであろう。

 ただ、以上のような障害はあっても、ロシアの圧倒的な軍事力の故に、ウクライナがロシアの手に落ちる可能性は高い。ロバート・ケーガンの論説は、ロシア軍の本格的侵攻が始まる前に書かれたものであるが、彼が描く悪夢のシナリオが展開する可能性は排除されない。

 ロバート・ケーガンによって描かれた悪夢のシナリオは、衝撃的である。彼が論説の末尾で述べた戦略的・地政学的な変動とは、ロシアの軍事的復活と米国の影響力の衰退を反映した欧州地域と、東アジアと西太平洋における中国の勢力拡大が相俟って、現在の国際秩序が破壊され、世界的な無秩序と紛争の時代が始まる、というものである。これを回避すべく、西側民主主義諸国は結束して対処する必要がある。

 ウクライナがロシアの手に落ち、しかる後、二層構造のNATO(旧ワルシャワ条約機構の領域にNATO軍が展開することを禁じられる)を目指すプーチンとの交渉を強いられるような事態は許容出来ない。さればこそ、ウクライナの防衛にNATO諸国をはじめとする西側諸国は最大限の努力(ウクライナに対する武器供与、対露経済・金融制裁など)が求められる。

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