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2022年5月28日

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ロシア軍が大攻勢を続けるウクライナ東部で27日、現地幹部が、主要都市セヴェロドネツクからウクライナ軍が撤退する可能性を示唆した。ロシアは東部ドンバス地域の完全制圧を、主要な軍事目標に定めている。

東部ルハンスク州のセルヒィ・ハイダイ州知事は、セヴェロドネツクにとどまりロシア軍に包囲されるのを防ぐため、「ウクライナ軍が市内を出るしかない事態になる可能性もある」と述べた。

セヴェロドネツクにいるハイダイ氏は、市内にある住宅の半数以上が破壊され、ほぼ全ての建物がなにかしらの被害を受けていると話した。市内に残る住民は全員がシェルターに避難しているという。

セヴェロドネツクを出てウクライナ支配地域まで移動するための道路は常時、砲撃されているものの、まだ通行可能だとも知事は話した。

27日にはこのほか親ロシア派武装勢力が、セヴェロドネツクの南にあるリマンの町を掌握。これによって、ロシア軍はリマンを足がかりに、主要都市スロヴィヤンスクやクラマトルスクへの進軍が可能になった。


<解説>ドンバスへの圧力――ポール・カービー欧州デジタル編集長

ロシアの代理部隊はこれまでウクライナ東部でゆっくりと進軍していたが、リマンの掌握は重要なポイントとなる。ウクライナ軍は今週初めから後退を始めていたが、それでもリマンでの激しい攻防は続いていた。さらに南のスヴィトロダルスク制圧に続き、ロシアにとっては今週2カ所目の大きな成果となる。

リマンはそれ自体が大きい都市ではないが、親ロシア勢力はこれで東西に走る幹線道路を押さえることができた。さらに、南西にある主要都市スロヴィヤンスクまで20キロと迫ることもできた。スロヴィヤンスクを通る鉄道はもうずっと運休しているが、それでもこの街はウクライナにとって主要な交通の要衝だ。

さらに東へ移動すると、近接するセヴェロドネツクとリシチャンスクの双子都市がロシア軍の標的になり、激戦が続いている。両都市は「ドンバス」と呼ばれるウクライナの製造業の一大中心地域で重要な位置を占めるだけに、ここを失うことはウクライナ軍にとって大きな打撃となる。


長距離兵器の提供は

ロシア軍のこうした進軍への防戦のため、ウクライナ政府は長距離兵器の提供を西側に強く求めているが、これまでのところアメリカ政府は応じていない。

ボリス・ジョンソン英首相は27日、ウクライナは長距離多連装ロケット発射システムを必要としていると述べた。首相は米ブルームバーグに対し、「残念ながらプーチンは、自分とロシア軍の多大な負担をよそに、ドンバスでぐいぐい前進しつつある」と話した。

「ゆっくりとしたものだが、遺憾ながら着実な前進を続けているので、我々がウクライナ軍を支え続けるのは完全に不可欠だ」と、首相はつづけた。

ウクライナが和平協議「妨害」=プーチン氏

ロシア政府によると、ウラジーミル・プーチン大統領は同日、ウクライナが和平交渉を「妨害」していると述べた。オーストリアのカール・ネハンマー首相との電話会談で発言したという。

ロシア政府が発表した会談内容によると、プーチン氏はさらに、世界の食料供給に混乱が生じているのは、ロシア軍がウクライナの港を封鎖しているからではないと主張。ウクライナ産の穀物などが出荷されずにいる本当の原因は、欧米による対ロシア制裁だと述べた。

国連はすでに、ロシアによるウクライナ侵攻のため、今後何カ月かのうちに世界的な食料不足が発生し、何年も続く恐れがあると警告している。

ウクライナ侵攻開始から、すでにトウモロコシや小麦といった穀類のほか、食用油の供給量が世界的に減少し、代替品の価格が急騰している。国連によると、世界全体で食品価格は前年比30%近く上昇しているという。

他方、ウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)は27日、ロシア正教会のキリル総主教がウクライナ侵攻を支持していることから、ロシア正教会との関係を断つと発表した。

ウクライナ正教会の一部は、すでに2019年の時点で独立している。

(英語記事 Ukraine war: Troops could quit Severodonetsk amid Russian advance - official

提供元:https://www.bbc.com/japanese/61615196

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