2022年7月6日(水)

ベストセラーで読むアメリカ

2021年12月5日

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■今回の一冊■
THE BASEBALL 100
筆者Joe Posnanski、出版Avid Reader

 歴代の野球選手ベスト100人をランキングした本が米国で話題だ。米国人の大リーガーたちの名前がずらりと並ぶなか日本の選手2人が登場する。イチローがランクインしたほか、もう一人は日本球界を代表するスーパースターだ。

 米国のベテラン・スポーツライターのポスナンスキーが独自に100人を選んだ。一人ひとりについて記録のみならず人物像などの詳しい解説をつけた。ニューヨークタイムズ紙の週間ベストセラーリスト(単行本ノンフィクション部門)では、10月17日付ランキングで5位に初登場した。

〝ランク外〟も大谷のすごさがわかる

 偉大なプレーヤーたちの記録を次々と塗り替える大谷翔平の大リーグでの活躍に触発され本書を手にとる読者も多いかもしれない。しかし、残念ながら大谷翔平はランキングに入っていない。ランキングそのものが、2021年の大谷の活躍をみる前に作られており仕方がないだろう。ただ、大谷の今年の成績のすごさを理解するのに本書は大きな助けになる。

 大谷の活躍についてはよくベーブ・ルース以来の快挙など、過去の名選手と比べる解説が今年はついて回った。ベーブ・ルースなら日本人も知っているだろう。しかし、日本人にはあまり馴染みのない昔のメジャーリーガーの名前が多くピンとこないことも多かった。

 例えば、大谷の三塁打など長打の多さを比べる際に引き合いに出たマイク・シュミットは、1970~80年代に活躍した選手で、本書では20位にランクインしている。長打と盗塁の多さを比較する際に出てきたウィリー・メイズはなんと本書では1位の選手だ。つまり、こうした超一流選手と並ぶ実績を大谷はすでに残しているわけだ。ちなみに、大谷が所属するエンゼルスの同僚、マイク・トラウトは27位となっている。

 さて、本コラムの筆者としては、日本人選手はだれが入っているか強い関心を持って本書を読み始めた。なんと、うれしいことに、最初に登場したのが100位のイチローだった(本書は、100位から1位にむかって選手を順に紹介している)。

 他に類をみない独自性を持つ選手としてイチローに最大の賛辞を送っている。大リーグの歴史を振り返ると、偉大な選手たちは互いに似たものを持っている。しかし、イチローに似た選手はいない。

Uniqueness is, by definition, the highest bar imaginable in baseball. Ichiro Suzuki was unique. There has never been one like him. And, if I had to guess, there never will be again.

「独自性は当然ながらベースボールにおいて考えうる最高の到達点である。イチロー・スズキは他に類をみない選手だ。イチローのような選手はこれまでいなかった。また、想像するに、これからもイチローのような選手は出てこないだろう」

Two players in the history of the game have had 200 singles in a season. One is Ichiro Suzuki in 2004 (when he had an almost unbelievable 225 singles). The other is Ichiro Suzuki in 2007.

「大リーグの歴史で、1シーズンにシングルヒット(単打)を200本以上打った選手は二人しかない。一人は2004年のイチロー・スズキだ(ほとんど信じがたい225単打を放った)。もう一人は2007年のイチロー・スズキだ」

 イチローがアメリカに渡ってからの日本のマスコミの騒ぎぶりにも言及する。

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