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田部康喜のTV読本

2022年6月6日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 「カラーでよみがえる東京」(月に1回・日曜・あさ4時10分~4時13分)は、NHKが世界中から100年にわたる日本の映像を集めて、できるだけ過去の色彩をよみがえらせたミニドキュメンタリーである。夜明け前に観る「東京」は、夢のように美しく、一片の詩になっている。

(metamorworks/gettyimages)

 同じタイトルにサブタイトル「不死鳥都市100年」をつけた、NHKスペシャルは2014年と15年の2年にわたって4回放送された。このミニドキュメンタリーは、その名作を改めて編集してみせた。

2度姿を変えた東京

 ミニドキュメンタリーのシリーズ「日比谷・丸の内~帝都の表玄関~」(5月29日)を観る。

 作家の小林信彦氏は、「東京は2度にわたって、その姿を大きく変えた」と語っている。それは、終戦直前の米軍による大爆撃と、1964年の東京五輪である。

 終戦直後の焼け野原になった首都の風景は、いくたのドキュメンタリーと映画、ドラマのセットによって、日本人の心に深く浸透している。前回の東京五輪の記録映画「東京オリンピック」(市川崑監督)は、冒頭に画面いっぱいに太陽の映像を現したあとに、首都のビル群を巨大な鉄球が次々に破壊していくシーンが続く。その延長線上にいまの「東京」はある。

 「日比谷・丸の内~帝都の表玄関~」は、戦前に大きな変貌を帝都にもたらしたことを描いている。関東大震災(1923年9月1日)である。震災前の大正時代の国鉄・山の手線が走り、表玄関の赤レンガの東京駅が画面に現れる。

 文明開化の象徴だった、赤煉瓦の建物が震災によって、焼失、倒壊する。「今日は帝劇 明日は三越」とうたわれた帝劇も、警視庁もそうだ。帝都復興のはじまりは、こうした建物を爆破することから始まった。それから数年経って、帝都の表玄関は相貌を変える。

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