2022年6月25日(土)

BBC News

2022年6月6日

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アメリカをはじめ西側諸国がウクライナに高性能の長距離兵器を供与する方針を示していることについて、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は5日、西側がそのようなことをすれば、ロシア軍がウクライナ国内で攻撃する対象を増やすと警告した。こうした中で英政府は6日、長距離兵器の提供を発表した。他方、5日朝にはウクライナの首都キーウの施設がロシア軍の砲撃を受けた一方、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は東部の前線を視察した。

プーチン大統領はロシア国営テレビの取材に対して、「全般的に、武器の追加供与をめぐってやたらと騒いでいるのは、私が思うに、目標はただ一つで、武力紛争をできるだけ長引かせるためだ」と述べた。

アメリカがウクライナに提供している内容に「目新しいものはない」としつつ、射程距離がこれまでより長いミサイル砲については「もし供与するなら、我々はしかるべき結論を下し、潤沢に保有する自分たちの武器を使い、これまで攻撃していなかった標的を攻撃する」と、プーチン氏は述べた。

一方、ウクライナのハンナ・マリャル国防次官は西側諸国に、武器の供与を続けるよう呼びかけた。国防次官は地元メディアに対し、「すでに長期戦に突入しており、支援が絶えず必要だ。西側は、一時的な支援では済まない、私たちが勝つまで続くものだと、理解する必要がある」と述べた。

イギリスも長距離ミサイル供与へ

イギリスのベン・ウォレス国防相は6日、長距離多連装ミサイルシステム「M270」をウクライナに提供すると発表した。アメリカと連携しての供与だという。

英政府は提供するM270の数を明らかにしていないが、BBCの取材では当初は3基を提供するもよう。

ウォレス国防相は、ウクライナが「一方的な侵略から国を守るために不可欠な武器」の提供にあたって、イギリスは先頭に立つと表明。「ロシアの戦術が変化するのに合わせて、我々がウクライナを支援する形も変わらなくてはならない」と述べた。

「きわめて高性能な多連装ロケットシステムによって、ウクライナの友人たちは、長距離砲の残酷な攻撃から自分たちをより効果的に守れるようになる。プーチンの軍勢はこれまで、長距離砲を無差別に使い、市街地を廃墟にしてきた」と、国防相は述べた。

アメリカは今月1日、ウクライナに新たに7億ドル(約900億円)の軍事支援を行うと発表し、M142高機動ロケット砲システム(HIMARS)4基が含まれると説明している。HIMARSは70キロ先にある目標に複数の精密誘導ミサイルを発射することができる。この射程距離は、ウクライナ軍が現在保持している大砲よりもはるかに長い。また、ロシア側の同等の兵器よりも精度が高いと考えられている。

アメリカの支援パッケージには、ほかにヘリコプターや対戦車兵器、戦術車両や部品などが含まれる。

ドイツも最新式の短距離空対空ミサイル「アイリスT」を供与すると約束している。これがあるとウクライナは、ひとつの都市全体をロシアの空爆から守ることができるようになる。.

首都キーウをまた攻撃

しばらくロシアの攻撃が途絶えていた首都キーウでは5日早朝、複数の爆発音が響き、南西部ダルニツキー地区から黒煙が立ち上った。少なくとも1人が負傷した。

ロシアは、欧州が提供した戦車の格納庫を攻撃したのだと主張している。これに対してウクライナ側は、被弾したのは電車の車両修理工場で、そこに戦車はなかったと反論している。

ロシア軍は4月以降、兵力をウクライナ東部と南部に集中させ、5月下旬に南東部の要衝マリウポリを完全制圧して以降は、東部ドンバスを集中的に攻撃している。

こうした中でキーウではこのところ、街に人が戻り、バーやカフェが再開するなど、開戦前にあるていど近い状態が戻っていた。

久々のキーウ攻撃について、ウクライナの政治家の1人は、東部ドンバスでの攻勢停滞にいらだつロシアの八つ当たりだろうと話した。

東部でロシア軍の将軍死亡

ロシア国営テレビによると、東部の自称「ドネツク人民共和国」の武装勢力を指揮していた、ロシア軍空挺団のロマン・クツゾフ少将が戦闘で死亡した。

親ロシア勢力によると、クツゾフ少将は5日、東部主要都市セヴェロドネツクに近いポパスナ地区のミコライウカ村で死亡した。

ウクライナ軍は、この地域で当日、激しい防戦を展開し、ロシア軍に相当の損害を与えたとしている。

ロシア国営テレビによると、ロシア軍の将軍がウクライナで死亡するのはクツゾフ少将で4人目。これに対してウクライナ側は、ロシアによる軍事侵攻開始以来、ロシア軍の将軍12人を戦死させたと発表している。

セヴェロドネツクで市街戦

ウクライナで現在、最も激しい戦闘が続く東部セヴェロドネツクについて、現地ルハンスク州のセルヒィ・ハイダイ州知事はBBCに対して、市内で市街戦が続いているものの、ウクライナ軍による奪還はまだ可能だと話した。

ハイダイ氏によると、ウクライナ軍はロシア軍を押し戻しつつあり、現在は市内の約5割をウクライナ軍が抑えているという。

「ウクライナへ弾薬の安定供給が続けば、自分たちは(セヴェロドネツクを)掌握し続けられないと、ロシア側は承知している」と、知事は話した。

民間人については、約1万5000人が市内に残っているものの、市外への避難は「今のところ不可能だ」と、ハイダイ氏は述べた。

ロシアがセヴェロドネツクを制圧すれば、ルハンスク州全域がロシア軍と、ロシアが後押しする分離派勢力の支配下に入る。ロシアと新ロ勢力はすでに、隣のドネツク州の大半を掌握している。

セヴェロドネツクには窒素肥料を作る巨大なアゾト化学工場があり、シヴェルスキー・ドネツ川を挟んだリシチャンスクには、ウクライナ2番目の規模の製油所がある。そのためこの2都市の掌握はロシアにとってきわめて重要な戦略目標となっている。

この両都市についてハイダイ知事は、「丘の上にあるリシチャンスクの方が重要だ。軍にとって守りやすいし攻撃しやすい」との見方を示した。

ゼレンスキー氏は東部の前線へ

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は5日、東部や南部の前線を視察し、その一環でリシチャンスクやザポリッジャを訪れたと発表した。大統領は動画を通じて、「私は現地で会った全員、握手した全員、話をして支援すると伝えた全員のことを誇りに思う」と述べた。

(英語記事 Ukraine war: Putin warns over Western long-range weapons / Ukraine: Explosions shake Kyiv while battles rage in east / Ukraine war: UK to send Ukraine M270 multiple-launch rocket systems

提供元:https://www.bbc.com/japanese/61701137

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