
南米アマゾンの熱帯雨林で、イギリス人ジャーナリストとブラジル人の先住民専門家が行方不明になった。
英紙「ザ・ガーディアン」などに寄稿しているブラジル在住のジャーナリスト、ドム・フィリップスさん(57)は先週末、同国北西部アマゾナス州のジャヴァリ地域での目撃を最後に、行方が分からなくなっている。
フィリップスさんは著書の調査の一環で、先住民専門家のブルーノ・ペレイラさんとこの地域を訪れていた。この地域の先住民グループによると、2人は数日前に脅迫を受けていたという。
フィリップスさんの家族は、「一秒を争う状況だ」と懸念を表明している。
現在、連邦警察と海軍が2人の捜索活動に当たっている。
現地紙オ・グロボは、6日夜にフィリップスさんとペレイラさんの失踪に関連して漁業関係者2人が逮捕されたと報じた。この2人はその後釈放されたという。
湖をボートでわたり
フィリップスさんはアマゾン地域を専門に活動しており、10年にわたってブラジルに住んでいる。
ペレイラさんはアマゾン遠隔地の先住民の専門家で、ブラジルの国立先住民保護財団(FUNAI)の役職を休職中だという。
2人はこの地域に1週間ほど滞在しており、3日にはジャブル湖をボートでわたっていた。
2つの先住民グループによると、2人はその後、5日の午後にはアタライア・ド・ノルテ市に戻る予定だったが、姿を見せなかった。
危機感募らせる家族
行方不明が発覚して以降、2人の家族は危機感を募らせていると語った。
フィリップスさんの妻のアレッサンドラ・サンパイオさんは、「この緊急事態に、緊急対応で応えてほしい」と訴えた。
「熱帯雨林では一秒を争う事態で、それが生死を分けることもある」
ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ元大統領は、「フィリップスさんは2017年、私のガーディアン紙のインタビューを担当した。2人が無事にすぐ発見されることを願っている」とツイートした。
https://twitter.com/LulaOficial/status/1533883458929446913?s=20&t=jsU5SKkMcePKdOJSud9Iug
ガーディアンはフィリップス氏の安否を「非常に心配している」、「フィリップス氏の居場所や状況について急いで情報を集めている」と述べた。
20以上の先住民グループが暮らしている北西部ジャヴァリ地域ではここ数年、違法な採掘や漁業、狩猟などが頻発し、それに伴う暴力事件も発生している。
この地域に拠点のあるFUNAIも、たびたび攻撃を受けているという。